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つまり、日本は大国としての責任を果たすことから逃げているように見える。しかし、それは逃げているのではなくて、自分のためでもあるけれど皆のためを考えて我慢しているんだという理屈がいいのではないかと思います。その上で、例えばブリティッシュ・カウンシルに当たるものをもっと作るとか、そういうことも私は必要だと思います。

例えば、アメリカの各地に、日本に言うアメリカン・センターみたいなものの日本版を10個ぐらい作ったら、どんなにいいことかということは、私が同僚の教官と去年アメリカに行って各地でしゃべっていたところです。

 

A どうもありがとうございました。

 

B 最近、私も安全保障戦略について考えなければいけない状況に直面しまして、こういうときの例に漏れず、アメリカではどういう枠組みを使っているのかというのを調べてきました。DOSが出していたステイト・ストラテジック・プラン(state strategic plan)があって、そこでは、まずナショナル・インタレスト(national interest)を設定する。それはナショナル・セキュリティ(national security)をはじめとする七つです。その下にストラテジック・ゴール(strategic goal)があって、目的とすべき状態、その下に運用目的、オペレーショナル・ゴール(operational goal)があって、それはその状態を実現するための手段。その下に、オブジェクティブ(objective)、個別具体的な政策が出てくる。

今の神谷先生のお話は、例えば、軍事中級大国としての外交安全保障路線は、ここで言うところの状態を実現するための手段、オペレーショナル・ゴールである。それで具体的にどのような国際秩序、東アジアの国際秩序を実現すべきだと考えているのかということをお伺いしたいんですが、

 

神谷 ナショナル・インタレストがあって、ストラテジック・ゴールがあって、オペレーショナル・ゴールがあって、何でしたっけ。

 

B それから、オブジェクティブです。例で挙げられていたのが、例えばストラテジック・ゴールにあるのが、WMDの拡散や通常兵器の拡散による地域情勢の不安定化からくる脅威の除去、オペレーショナル・ゴールにあるのが、軍備管理や技術管理などの他国間利潤の強化、最後に来るのがとりあえず今はパットオフしようという話になります。これはすごくイミディエート(immediate)な話です。もうちょっとジェネラルに広げていくと、恐らくここで言う外交安全保障路線はオペレーショナル・ゴールに当たるであろう。

 

 

 

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