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3. 質疑応答

 

司会 神谷先生、どうもありがとうございました。

それでは早速、質問あるいはご意見をいただきたいと思います。挙手をお願いいたします。

 

A 私が興味を持った概念は、1ページ目にあります、コ・オプティブ(co-optive)という概念です。実は、私が大学院時代にイギリスにいましたときに、湾岸戦争が起きて、日本が兵を出さないということで、ものすごいイギリスの中で批判が起こりました。そのときに、憲法9条があるということをマスメディアのほうが伝えずにかなり報道が活発に行われたために、日本に対する非難が随分起こったことがありました。それが私のジャーナリストの道につながっていくことにもなりました。

フランスやイギリスを見ますと、イギリスのブリティシュ・カウンシルでも、またフランスのフランス語を広めようというような学校とか、ドイツのゲーテ・インスティテュートとか、いろいろ自国のコ・オプティブ・レベルを高めるために、文化的なドグマも含めて、メディアも含めて、いろんなことを各国がやっているという感じがする中で、日本はそれが欠如しているという印象を持っております。

今神谷先生がおっしゃった、軍事中級でも大国と各国からみなされて、コ・オプティブなレベルを上げるためには、具体的には外交以外の面も含めてどんなことがなされなければいけないとお思いでしょうか。それをお尋ねしたいのですが。

 

神谷 まず、例えば湾岸戦争のようなことが起こったときに、日本は戦わない、戦うというレベルでは貢献をしない。それが日本の希望でありますし、恐らく普通の日本国民は、それが正しいと言いたいのだと思います。しかし日本が、例えば、憲法9条があるから日本は戦わないんだと言っている限り、よその国がそれを認めないと言えばそれでおしまいです。尊敬は勝ち得られない。ソフトパワーかコ・オプティブ・パワーかどちらのことばで言うにしても、こういう力も高まらない。

やはりそれは、日本が大国だけれどそういう方面では貢献しない国として世界に認められるということがあって初めて、現在の進路を取ったままの日本というものが敬意を払われる国になり得るのではないかと思います。

例えばノルウェーのことを思い浮かべていただくと、あの国は国連の平和維持とか予防外交に活発に活動しております。たまたまあるプロジェクトで、私、あの国に行きまして、政府のそういう分野の担当者としゃべりましたところ、紛争の予防には軍事も非軍事も大切だ。

 

 

 

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