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北朝鮮問題は、核ミサイルがこれからもしかしたらそこに存在するようになるんじゃないか。そこまでいかなくても、すぐにミサイルが飛んでくるかもしれないとか、甚だ日本人にとっては気持ちのよくない展開を見せていますけれども、しょせんは、あの国はあまり強い国ではありませんから大騒ぎする必要はなくて、しっかり抑止をしておけば基本的には問題は解決するはずであって、それはそんなに大変なことではなかろう。もちろん、そこでは日本自身の(防衛面での)準備と日米韓の防衛協力は重要である。

それでは、北朝鮮との関係改善をどう考えるかということです。これは端的に言って、北朝鮮は日本と関係を改善するといいことがいっぱいありますが、日本は北朝鮮と無理に関係を改善しなくともそれほど困ったことは起こらない。それから、関係を改善したからと言って、例えば北が核開発をやめてくれるかとか、ミサイルをやめてくれるかというとそんな保障もない。多分やめないだろう。そういうことをいろいろ考えますと、北次第だという姿勢でいくのがよかろう。

一方で、北朝鮮を干ぼしにするという一部の威勢のいい政治家の方々のような、ああいう態度は無茶だと思います。というのは、日本は自分の国が安全である限りはよその国と共存することにはやぶさかでないはずなので、別に干ぼしにしなくたって悪いことさえしないでいてくれればいいはずである。しかも、北朝鮮の体制がどうのこうのという話は、韓国人と北朝鮮人が決めることであって外人である私たちが口を出すことではなかろう。ですから北朝鮮を干ぼしにすべしという主張は間違いだと思います。

その一方で、何としても関係を改善しなきゃいけないというので、こちら側から次々に甘い餌を投げて、向こうを引き寄せようとする。これも今までうまくいった例のないやり方ですし、よろしくなかろう。結論は、中間にあって、(日本としては)いつでも対話に応じるし協力もするけれど、それはあなたが何か誠意を示してくれたときですよという姿勢を明確にしていくことではないかと思っています。

これは、国際政治の理論で言う、ティット・フォー・タット(TIT FOR TAT)とか、「目には目を」戦略というのに似ているんじゃないかと思いまして、フォーサイトの論文ではあえて端的にそれがいいのではないかと書きました。実際には、微妙にズレがあるかもしれませんが。目には目を戦略というのは、相手が善意、協力でくればこっちも協力する。相手が協力でこないなら、こっちも協力しないという原則でいくという話であります。これが恐らくは、相手に協力の得を悟らせる学習効果が一番期待できていいのではないかと考えています。

 

 

 

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