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2. 講師報告

 

神谷 今、ご紹介にありましたように、この題は、何とでもなるように、だいぶ前に作戦として付けたものであります。本日は、ストレートに日本は、こうしろ、ああしろとか、そういう話を細かく具体的にするよりは、もうちょっと大風呂敷の話をしたい。自分でも結論が出ていないような話を図々しくやって、皆様のご意見を承って、それを活用しようという甚だずるい考えでやってまいった次第であります。そもそも出席者の予定リストをいただいて、こういう方々の前で、私が日本の外交安全保障戦略を図々しく勝手に考えるというのも、いささか気がひけなくはないんですが、せっかくいただいた機会ですので、図々しくやりたいと思います。

まず、型通り、日本が現在、直面している外交安全保障政策上の課題を考えると、普通、北朝鮮問題が最初に大きくクローズアップされてきて、その次、最近だったら日露関係をどうやって普通の方向に持っていくかというのも出てくるかもしれないと思います。しかし私は、これらは重要ではあっても、これから日本で根本的な重要性を持つ課題ではないように思っております。と言って、済ませるとあまりですから、北朝鮮問題と日露関係について、今後、日本がどうすべきかということについて、これから先の本論とちょっと関係のないような気もしますが、私なりの考えだけ、いい機会ですので宣伝させていただきます。

北朝鮮については、本日も来てくださっています、フォーサイトの横手さんのご尽力で1本書かせていただきました。日本の対北朝鮮戦略はいかにあるべきかということに関する私の基本的な考え方は、そこで述べました。『フォーサイト』の5月号です。ご興味のおありの方は、図書館、資料室等でお探しいただければ出ております。

私は、北朝鮮は変ちくりんな国でとんでもない国だとは思っておりますけれども、詳細を省いて結論だけ言いますと、過去50年、自殺行為をしたことはない。過去の北朝鮮の行動歴から見てそのことははっきりしているのではないかと思います。力には非常に敏感に反応して、ある意味で非常に注意深く計算して、やっている。彼らなりの合理性の基準から見て何か得をしそうなことだと、われわれの常識から見て変ちくりんなことでもやりますが、全く成算が立たないことをやるクレイジーな国だというのは、多分、間違いだろうと考えております。だとしますと、まず一方で抑止というものは北朝鮮のような国に対しては非常にうまく効くのではないか。これが基本になるんじゃないかということが1点であります。

 

 

 

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