提言12 援助供与国・国際機関の比較優位性を活かした援助システムの構築
世界的な「援助疲れ」の傾向の中、限られたODA予算を最大限に活用し、適正かつ効果的な援助を実施していくためには、国際機関を含む各援助供与国等の間で政策協議・協調を緊密に進め、歴史的・文化的な背景が反映される各援助供与国等の地域的・分野的な比較優位性を活かした援助システムが樹立される必要がある。我が国はこのような援助システムの構築に主導的な役割を果たすべきである。
また、このようなシステムの構築に際しては「南南協力」の推進への支援に十分配意すべきである。
提言13 国民参加型援助の推進
ODAの主要な財源が国民からの貴重な税金等であることにかんがみ、ODAの実施に当たっては、国民の理解と支持を得ることが不可欠である。そのためには、納税者である国民が自らODAに参加できる道を拡大していくことが重要である。今後、ODAへの個人、NGO等の参加をより一層促進するなど、国民参加型援助の推進を強化すべきである。また、地方自治体が行う開発援助に対し支援を拡充するとともに、ODAの実施に当たって、地方自治体との連携を強化し、そのノウハウを積極的に活用すべきである。
提言14 NGOとの連携の強化
NGOは草の根レベルで援助活動を行っており、開発途上国の住民の多様なニーズに応え、互いの気持ちが通い合うきめの細かい援助を行うという優れた特色を有している。このようなNGOの活動は、我が国のODAを息の長いかつ幅のあるものにするだけでなく、「顔の見える援助」という点においても重要である。
そこで現在、ODA全体額の約1%を占めるNGOを通じた援助が、ODA全体額の5%程度を将来的な目標として拡充が図れるよう段階的に努力すべきである。特に、草の根無償資金協力、NGO事業補助金等公的助成制度がNGOの財政にとり重要であることにかんがみ、国の財政事情を斟酌しながら、今後これらの制度を一層拡充するよう努めるべきである。また、NGOの自主性を損なわないように配意しつつ、NGOの人件費等の管理費に対する助成も含め、運用面での改善に努めるとともに、NGO職員を対象にした研修の充実を図るなど人材の育成・確保についても支援を強化すべきである。