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国会の関与の強化については、委員から、国会自らが予算、決算審査の充実を図るほか、「ODA委員会」といった常設の審議の場をつくるべきであるとの意見、ODA担当の常設の委員会としては、外交・防衛委員会、決算委員会の中に、小委員会をつくるような形が望ましいとの意見、政府に対し各省庁にまたがるODA予算の全体像が分かるような資料の国会提出、国会に対するODAの実施状況の報告を充実するよう求めるべきであるとの意見が述べられた。意見交換を通じて、今後、恒常的にODAに対する国会の関与を強め、政治のリーダーシップを発揮すべきであるとの方向で共通の認識が形成され、国会審議の更なる充実、ODA大綱の運用改善など現行のシステムを拡充強化していくことについて認識の一致をみた。

国会とODAとの関わりを一層明確化していくため、ODA基本法の制定に進むべきかをめぐって論議がなされた。基本法の立法化について、国会で具体的に踏み込んだ論議をすべき時期に至っているとの共通の認識が形成された上で、委員からは、国会として基本法に基づいて国民にODAの役割を理解してもらう必要がある、外交の機動性、柔軟性を縛るような基本法ではなく、理念法としてODAに対する日本の姿を世界に見せる意義のある基本法の作業を進めるべきであるとの意見、国会の関与を強め、実施体制の一元化を行うためにも基本法の制定が必要であるとの意見、現在基本法をつくるとすれば、基本理念、国会に対する報告等にとどめた「基本法の基本法」「簡潔な基本法」とし、理念、基本原則を明確にするとともに、政府から年次報告の国会提出を求めてODAの透明性を高めることが大切であるとの意見等の基本法の立法化に向けた積極的かつ具体的な意見が述べられた。他方、基本法の必要性については十分理解し得るが、現行システムの拡充強化による国会の関与の強化の方がODA政策全体から見てベターであるとの意見も表明された。

意見交換を通じて、国会とODAとの関わりを更に明確化していくため、国際開発協力の本旨、国際開発協力の基本原則、国会に対する報告等から成るODA基本法案の骨子を立法化に向けての論議のたたき台として提起することを提言することについて共通の認識が形成された。

 

 

 

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