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以上本調査会においては、21世紀に向けた経済協力の在り方について広範な角度から論議が行われたが、本調査会は次の提言を行うものである。

 

提言1 ODA大綱原則の運用の透明性の向上

ODA大綱原則の運用状況については、「我が国の政府開発援助」(ODA白書)等に明らかにされているが、不十分な点も否めない。大綱原則の運用の透明性を向上させるため、「ODA大綱原則の運用状況報告」(仮称)を作成し、外交上支障のない範囲で、国会をはじめ国民に対する情報公開に一層努めるべきである。

 

提言2 ODA大綱の見直し

ODA大綱は平成4年に閣議決定され、以来5年有余にわたりODA供与の指針となっている。その間、大綱の運用例も積み重ねられ、また、地球環境問題に代表される地球規模問題の更なる深刻化、地雷除去対策の必要性、「新開発戦略」の策定等新たな動きが生じてきている。これらの動向に対応し、大綱の見直しの検討に着手すべきである。

 

提言3 援助基準の多様化

ODAの対象国・地域の認定や有償協力・無償協力の対象国の考慮においては、一人当たりGNP等の経済的指標が主な基準要素とされている。近年「人間中心の開発」が重視されていること、また、アジア諸国をはじめ開発途上国は着実な経済発展を遂げているものの、国内的には様々な問題を抱えていること等から、経済的指標のみならず、開発途上国内における地域間格差、就学率、識字率、女性の政治参加の度合等も十分考慮する必要がある。そこで、人間開発指数等にも配意しつつ発展段階をはかるなど、援助対象国・地域の認定等に当たって、援助基準の多様化に努めるべきである。

 

提言4 ODAの量の確保への配意

ODAは日本の国際貢献の重要な柱の1つであり、かつ国際社会からも高い評価が与えられている。ODA予算の一律10%削減が明らかにされた際、開発途上国及び国際機関から示された懸念を真剣に受け止める必要がある。

 

 

 

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