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2. ODAの在り方

ODAの在り方については、ODAの量の確保と質の向上、援助案件の形成過程、援助実施体制をはじめ、国民参加型援助の推進、NGOとの連携の強化、国際協力に携わる人材の育成等広範な角度から論議がなされた。

ODAの量の確保と質の向上については、委員から、ODAは地球市民としての義務かつ責任であることから、先進国として応能負担を行うとの視点について国民の理解を得た上で増大させていくべきであるとの意見、ODA予算の効率的配分と被援助国の安定的な経済発展を阻害している既得権益構造を改革していくべきではないかとの意見が示された。他方、日本の援助は米国の戦略援助に追随するようなもの等がかなり含まれており、人道的援助を中心に抜本的に改革すれば、巨額の予算は要らないのではないかとの意見も述べられた。また、ODAの質的向上を図るとともに、技術協力、政策支援や開発途上国の人材育成が大切であるとの意見が表明された。

援助案件の形成過程については、委員から、案件発掘に関しては相手国政府、現地の国際機関、NGO等と綿密に協議する体制をつくるべきであるとの意見、プロジェクトの要請内容をつくる技術協力をオープンに行うことにより、援助要請の過程で腐敗の土壌を生まないようにしていくべきであるとの意見が述べられた。

円借款に関する4省庁体制、技術協力に関する多数省庁の関与という現行の援助実施体制については、委員の意見交換を通じて、縦割り行政の弊害をなくし、政治がリーダーシップを持って実施体制の一元化の方向に努力すべきであるとの認識で一致した。一元化の具体化については、委員から、組織を一元化するかどうかはともかくコントロールタワーとなる組織をつくる必要があるとの意見が述べられた。さらに、援助体制の一元化は外交の一元化と密接に関連し、外交との関係を考えると、外務省の下にあるのが自然であるとの意見に対し、各省庁を束ねて一元化し、効果的な体制をつくっていくには総理府の下に置く形もあり得るとの意見が示された。

意見交換を通じて、21世紀に向けたODAの在り方を示すため、国民参加型援助の推進を強化すべきこと、援助実施体制について一元化の方向で見直しに向けて検討に着手すべきこと等について意見の一致をみた。

 

3. 国会とODAとの関わり

貴重な税金等を原資とし、国際貢献の重要な柱の1つとなっているODAについて、国会の外交・財政に対する監督機能を発揮するとの視点やODAの透明性の向上を図り、国民の理解・支持・参加を得たものとしていくなどの観点から、国会とODAとの関わりについて論議が展開された。

 

 

 

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