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第4期国際問題に関する調査会報告書(平成10年6月3日)

「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」

(ODA部分のみ抜粋)

 

21世紀に向けた我が国の経済協力の在り方

本調査会では、長期的視野に立ち対外経済協力の在り方等について調査検討するため、対外経済協力に関する小委員会を設置するなど、21世紀に向けた我が国の経済協力の在り方について調査を行った。これは、ODAを中心とする我が国の経済協力がアジア太平洋地域の経済発展に寄与してきたが、世界的な「援助疲れ」の傾向、経済協力開発機構開発援助委員会における「新開発戦略」の策定や、国内では、財政構造改革の推進に関する特別措置法の成立に伴うODA予算の削減、外務大臣の諮問に係る「21世紀に向けてのODA改革懇談会」の報告をはじめとするODA改革の動き等現在ODAが大きな転換期にあることから調査を行ったものである。

 

1. ODAの理念

なぜ援助を行うのかというODAの理念については、委員から、被援助国国民の立場に立ち、人道的立場を重視する援助が重要であるとの意見が示される一方、人道主義は必要であるが、同時に、ODAは外交政策の重要な柱の1つであり、日本の国益、世界の安定に結び付ける援助も大切であるとの意見が述べられた。また、国民のODAへの理解を深め、地球規模問題の解決に寄与する観点から、援助は豊かな国が人類共通の問題に対処するある種の義務的なものであるとの考えを政府開発援助大綱の基本理念に加味すべきであるとの意見が表明された。他方、米国の世界戦略に追随するような援助等を是正し、開発途上国の人間中心の開発、発展の権利、その自助努力への支援を自主的に行うという方向に理念をうたう必要があるとの意見も示された。意見交換を通じて、ODA大綱の運用の透明性の向上を図ること、大綱の見直しを検討することについて共通の認識が形成された。

 

 

 

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