しかしながら、世界に「援助疲れ」とも言われる状況が続いている中で、我が国おいても、最近の総理府の世論調査によれば、長引く景気低迷、厳しい財政事情、さらに、ODAに対する不透明感や効果への疑問を反映して、国民の支持率が年々低下しており、我が国のODAは、厳しい状況に置かれている。
行政監視委員会では、このような状況にかんがみ、ODAの在り方について、関係省庁への質疑、有識者からの意見聴取、ODA関係者との懇談、委員間の自由討議などを通じ、集中的な調査を行ってきた。
その結果、ODAの理念及び目的を明らかにするとともに、国民監視の下で援助が行われるよう、情報公開、評価制度などを盛り込んだODA基本法を制定すべきであること、本委員会としても、自ら現地調査を行い、結果を今後の援助に反映させるなど、ODAの在り方についてなお一層監視を強化する必要があること、また、ODAについては、政府において一定の改善の努力が見られるものの、なお取り組むべき問題があることで意見の一致をみた。
政府は、二十世紀に向けて、我が国のODAが国の内外から理解と信頼を得るとともに、透明性を確保しつつ、よい一層効果的、効率的かつ適正な援助が実現するよう、本委員会の結論を尊重し、次の事項について速やかに実施すべきである。
1. 被援助国の実状に即した国別援助計画の作成について
援助を効果的、効率的かつ重点的に行うとともに、統一的な運用を確保するため、他の援助国及び国際機関の計画も勘案しつつ、外務省がイニシアチブをとって、被援助国の実情に即した国別援助計画を作成すること。その際、民間企業、NGOなど現地の事情に精通している人材を活用するとともに、現地住民の声を計画に十分反映させること。
なお、軍事支出の多い国に対するODAは、軍事費の肩代わりにならないようにすること。
2. 事業の重点化と事業間の連携強化について
援助を一層効果あるものにするため、事業は重点的に実施するとともに、重点化に当たっては、インフラ整備などハード面の援助に比ベソフト面での援助が不十分であることから、今後はソフト面の援助を充実すること。