日本財団 図書館


地方自治体の参加に関連して、以下2点の質議があった。

第1点は、中国に対する環境ODAに関連して、中国の地方レベルの要望が中央の政府に伝わっていないのではないか、それゆえ直接地方レベルで円借款するなり草の根援助を増やすなりすることはできないか(16)、との質議である。これに対し政府から、ODAは政府と政府の交渉により決定されるものであり、直接、地方政府を相手とすることはできない、しかし、地方政府の要望を積み上げ、優先度をつけて決定するので、その大枠に沿ったものであれば中央政府に取り上げられやすいのではないか(17)、との答弁があった。こうしたことは、わが国の地方自治体が相手国の地方自治体からの要望に応えるという意味で、政府のODAを補完する、あるいはODAとは別ルートで国際協力を行う場が十分の残されている証左と言えよう。

第2点は、国民参加型援助の構築という観点から、行政府とNGOとの連携の状況についての質疑である。この点に関して参考人から、近年NGOに外務省、JICAから声がかかり、NGOが案件形成ミッションに参加することも始まっている、ちなみに、96年4月からNGO・外務省定期協議会、98年10月からNGO・JICA協議会が発足し協議を重ねている、また、多国間金融機関に関連してNGO・大蔵省協議会が、つい最近では政府との関係を応援することを目的として国際協力NGO活動推進議員連盟が発足している(18)、との答弁があった。このことは、NGOと政府あるいは実施機関との連携が進んでいる中で、政府と地方自治体との連携が必ずしも進展していないことを示している。

99年8月2日、参議院行政監視委員会は、ODAに関する調査に基づき協議を重ねた結果、以下の「政府開発援助に関する決議」を採択した。

 

政府開発援助に関する決議

我が国の国際貢献と外交政策の柱である政府開発援助(ODA)は、開発途上国の発展を促すことによって、国際社会の安定と平和に重要な役割を果たしてきた。また、世界では今なお多数の人々が飢餓と貧困に苦しむ一方、環境、人口、エイズ、麻薬等の地球規模の課題が山積する状況にかんがみると、ODAを通じてこれらの課題に積極的に取り組むことは、先進国の一員としての責務と思われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION