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92年6月30日、宮澤内閣は「政府開発援助大綱」(ODA大綱)を発表した。大綱は長年にわたり形成されてきた援助政策の集大成であり、その大部分は国会答弁で明らかにされてきたものである。内容的には、上述の合意事項、参議院決議と共通する項目が多い。その後、政府が「大綱の制定に当たっては基本的に合意事項及び決議が背景になっている(15)」との答弁を行っていることから、同調査会の報告が政府の政策に活かされたことが明らかとなった。

 

画期的な国際開発協力基本法案の骨子の提起

98年6月3日、参議院国際問題に関する調査会(林田悠紀夫会長)は最終報告を議長に提出した。同調査会は「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」をテーマとして安全保障、経済・経済協力の分野を中心に調査を行った。特に、経済協力に関してはODAの理念、ODAの在り方、国会とODAの関わりについての検討が加えられ、20項目の提言がなされている。そして最後の提言でODA基本法案の骨子が提起されている。20項目の提言の柱は以下のとおりである(詳細は巻末参考資料を参照)。なお、「国民生活型援助の推進」及び「ODA基本法の骨子の提起」については、その全文を紹介する。

 

20項目の提言

(1) ODA大綱原則の運用の透明性の向上

(2) ODA大綱の見直し

(3) 援助基準の多様化

(4) ODAの量の確保への配慮

(5) ODAの質の向上、人材育成・知的支援の推進と関連体制の整備

(6) 有償・無償資金協力・技術協力の連携の強化、多国間援助と二国間援助とのバランスヘの配慮

(7) 環境ODAの重視と人材の確保

(8) 社会開発分野の重視

(9) 国別援助方針の充実による国別援助計画の策定と関連体制の整備

(10) ODAの中期政策の策定の検討

 

 

 

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