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これは同調査会の国際経済・社会小委員会(矢田部理小委員長)の各会派の活発な意見交換などによる調査に基づくものである。この調査に継続的に参加した議員は、矢田部小委員長のほか、下稲葉耕吉、中西珠子、上田耕一郎、関嘉彦議員である。意見交換の項目としては、1]国際開発協力の理念・目的、2]国際開発協力の諸原則、3]援助行政の一元化、4]国会と行政府との関係[5]ODA基本法の必要性などであり、各項目毎に各会派の見解の相違が見られたにもかかわらず、度重なる協議の結果、以下の7項目の合意が得られた、とされている。

 

7項目の合意事項

わが国のODAが世界最大規模に達しようとしている今日、国際社会におけるわが国の役割と責任は一層重大となっており、ODAに対する国民の期待と関心は日々高まっている。このような情勢の中で、3年間にわたり、ODAを中心とした経済協力(国際開発協力)の在り方について調査した結果、合意した事項は次のとおりである。

 

(1) 国際開発協力の理念・目的

国際開発協力は、人道的立場に立って、開発途上国の飢餓と貧困の克服、福祉の向上、経済的自立などのための自助努力を支援することを目的とし、国際的な格差解消と開発途上国の平和と安定が、日本を含む世界の平和と繁栄にとって不可欠であるという国際社会の相互依存性の認識に基づいて行われるべきである。

 

(2) 諸原則

国際開発協力は、次の原則を遵守して行う。

1] 主権尊重、内政不干渉を基本として、自主的に行う。

2] 軍事的用途に充てられることを禁じ、また国際紛争を助長してはならない。

3] 原則として情報公開とする。

4] 対象地域の住民の生活、文化及び環境に配慮する。

5] 相手国政府との政策対話を密にし、関係国際機関、民間組織等と協力して行う。

6] 貧困の克服等、基本的な生活条件の向上に重点を置き、特に女性及び子供に配慮する。

7] 基本的人権及び自由が保障されるよう積極的に努力する。

8] 不正、腐敗を招くことのないよう適正に行われなければならない。

 

 

 

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