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世界都市東京フォーラム「歴史と文化からの考案」会議録

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


それがヨーロッパの支配の中では逆に、相手を支配するための道具になってしまったということで考えていくと、帝国性と世界都市性はかなり大きな問題としてイスタンブールの場にあったのかなと感じます。

 

青木 一種の挫折した近代化というか、例えば、女性参政権がヨーロッパより早かったし、地下鉄もかなり早い時期にできているが、1区間しかない。最初はぱっとつくるが、後が続かない。

 

山室 あそこから先は海ですから、行けないでしょうね。

 

青木 新市街のガトー橋が延びたのはよかったと思いますが、何かはかない感じもあります。

 

陣内 オスマン帝国がエースだと思うのですが、その前に東ローマ帝国のビザンチンの大都市があった。それも世界都市だったと思う。ところが、イスラムの立場での研究者は、ビザンチンの評価をあまりしないというか、タブーというか、そこで認識が切れている。だから、文化の伝承とか重なりが、また、新市街に住んでいる人たちは旧市街のことをそんなに見ないという、3層に切れてしまっていて、せっかく一つの都市の蓄積があるのに、全部一緒にリプレゼンスできないというか、何か矛盾だと思う。

 

山室 同じ施設を何回も使っている点でいえば、アラソフィアでもそうですが、最初はキリスト教の壁画があるのに、それを上から塗って、オスマンが使う。

 

青木 使えるものがたくさんあるから、大したものです。

 

森 壊しはしないで、前のものは必ずとっておく。

 

岡本 でも、かなり壊しています。実は、19世紀の後半に、オペラはヨーロッパから1年半か2年おくれで必ず来ているのです。新作の発表が必ずあり、ドルマバスチェ宮殿の一部にあったオペラハウスでやっていたのですが、今は跡形もなく、スイスホテルが庭に建っているし、コンラッドホテルはユリデュス宮殿の庭に建っている。その他、かなりのものをつぶしています。

歴史がつながらないのは、行政の問題もあります。96年にハビタット2があったときに、イスタンブール展があったのです。そのときにトルコ歴史協会が頑張って、ビザンチン、そして、オスマン帝国の歴史をつなげてプレゼンテーションしようとしたら、イスタンブール・メトロポリタン・ムリデュスパリティがつぶしにかかった。

そのときの市政府はレファ政権です。福祉党のイスラム政権だったので、イスタンブールの表象はオスマンにしてくれと主張した。しかも、ムリデュスパリティの制度は1984年に変わり、大都市のイスタンブール、アンカラは特別行政区なんです。非常に権限が強い。普通の都市だとそういうことは言えないんですが、福祉党というイスラム政権がたまたまメトロポリタンの長になったものですから、イニシアチブをとって、歴史館を否定しにかかった。国は何も言えなかった。初めの展示館は非常によかったのですが、かなり横やりが入った。歴史の表象そのものが政争の道具になってしまい、都市をつくってく責任がどこにあるのかがはっきりしない。住民か、メトロポリタンか、国か、都市づくりにもかかわる大きな問題だと思います。

 

青木 それでは、陣内さんにお願いします。

 

〔世界都市を考える〕

 

陣内 ベネチアも、かつての華やかな共和国時代から比べれば、大分衰退し、没落し、イスタンブールと同じように、世界都市としては色あせているわけです。人口は今、7万人に近い8万人ぐらいですが、そのわりには世界都市的な頑張り方はしている感じはするのです。ベネチアをかつての世界都市のケースとして学びつつ、東京のことを考えてみたいと思っています。

 

1. 東京を世界都市と言い始めた背景

 

世界都市というニュアンスですが、皆さん、いろいろ思いを込めて違っていると思います。バブル華やかなりしころを振り返ってみると、東京都が世界都市論をぶち上げた。堺屋太一さんが座長になって、東京のCIを考える委員会をつくろうということで、私も参加しました。結果的には、「世界都市東京、私の舞台東京」をキャッチフレーズにした。楽観論だったわけで、その後、バブルがはじけて、東京は難しい問題を抱えてしまいました。

 

 

 

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