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大洪水が起こってくるということです。これに対して、海岸で堤防か何かで止めようというのはとても難しい。東京を何とか考えるということになると、一つは横須賀あたりに大きなダムをつくる以外にないのではないか。東京湾全体の水深を浅くするとか。これは、マクロエンジニアリング学会で、北京の出口のところをダムで止めようという計画があり、北京も同じようなことを考えているらしい。

ですから、漁業権をぐずぐず言っているよりは、漁業権を環境づくりに投資しなさいという形で参加していくことを検討してもよいかもしれません。

いずれにしても、3,000万都市の環境に関しては、もうちょっとシビアに考えていく必要がある。私の建築関係の団体でも今年から言い始めたことですが、ハザードマップをつくって、環境に危険のあるところには人が住んじゃいけないということにしよう。あえてそこに住む人は、自分の考えで、自分の責任で住むということが第2の悲観的なシナリオです。

それから、3番目の問題として、マフィアですね。これはちょっと気になることですが、学者の友人が言っておりますことは、マフィア天国としては日本がいい。だんだんほかの地域では住みにくくなっていて、裁判がとにかくべらぼうに長くて、捕まった人でも、とにかく人権問題で大切にしてくれる。そういう意味では日本はテロとかやくざの天国だ。会社の破産の問題なんかも、要請があれば、私どもで引き受けます、ヨーロッパの南の人はなれておりますから、と冗談が出る位です。そういう面でねらわれているのは大変危険です。

警察がどうも弱体化して、ほんとうに自治体警察として、自分たちの都市は自分たちが守るという精神がなくなっているのではないかという感じがあることと、軍隊を持ってないために、どこを守ったらいいのかなんていうのも確たる目標がない。特にオウムの処理の仕方などを見ていると、ほんとうに問題ではないかと思います。

大体3つぐらいの悲観的問題があって、最後に、東京をどうするか。東京に住んでいる人ではなく、移民の問題です。世界中の人が、東京に魅力があると感じるか感じないかという問題で、その競争に果たしてどこまで耐えられるかです。

ですから、そういうことについては、先住民、つまり、前からいる人と、それから新しくそこに集まってくる新住民と、その人たちにとっての問題が東京問題なのではないかと考えられる。それはどっちかというと、あんまりうれしくないという話です。仲間でうまくやろうという話は、そろそろおしまいになってきているのではないか。そのことをつけ加えて非常に日本にとって好ましい背景があると同時に、一方で、大変悲観的な問題もあるということです。

 

近隣の途上国に技術移転

 

平山 東京はもともと都市計画が整然としていないところに特徴がある。雑然としてカオスの状態と言われている。

 

菊竹 これは、マクロにみるとすごくきれいな渦巻き型なんです。それで都市の要所要所は街道に沿って全部、番所やお寺などがあり、江戸時代はなかなか高度な都市計画があったんです。

 

平山 高級な動物は骨格をつくって、非常に整然と構築している。パリにしてもね。整然とつくっている都市計画ではなくて、多細胞動物というのかな、どんどん増えていくような動物の成長形態に似ていると、どこかに書いてあった。

 

菊竹 ある意味では、東京の住みやすさというか、そういう魅力もある。

 

平山 隠れた秩序が何となく東京が発展するときにあった。それを顕在化するというのはおもしろいかもしれません。日本的なものかもしれないが、カオスの中に隠れた秩序があった。

 

古川 戦後の都市行政がそれを壊したのです。堀割を埋め立てるなど、くだらない事業をやったために崩れたのです。遅ればせながら手直しをして、元に戻さなければいけない。

今頃になって嬉しく思うのは、第二次大戦を始めたときに国産の飛行機を作れたのは、環太平洋圏でアメリカと日本しかなかったことです。アジアの発展によって鉄鋼生産は韓国に抜かれ、自動車は大宇とかに追われる。

 

 

 

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