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中国、韓国、ベトナム、あるいはインドからどんどん人が来られるようにしたい。来られるようにするにはどうしたらいいか。今まで早稲田で留学する人に奨学金を出す場合は、入ってから奨学金を出しておりますが、入学を許可する前に、私はアジアの現地で推薦入学をやるべきだと思っています。推薦を受けた者は無条件で入れて、その中の1人か2人は月謝はただにするとか。1,000人ぐらいただにしても早稲田大学は経済的につぶれない。

そして、どの学生がいいか、現地の人に推薦を任せちゃう。早稲田の先生がそれを決めたんじゃだめで、例えばシンガポールで、早稲田大学の卒業生の中で推薦するよい人がいるかもしれない。必ずしも卒業生でなくてもいいんです。これはという外国人を信頼して、その推薦を受け入れる。それを4、5年やってみて推薦がよくないと思ったら、今度は人をかえればいい。少なくとも総長は4年やっているんだから、4年位は、その人の言うとおりに入れてやってみたらどうか。大学全体から見れば、1%ぐらいミスしたって大したことはないから、それぐらい度胸がなくちゃだめと言っても、「ああ、いい話ですね」と言う人はいるけど、まだ一回もやったことがない。

早稲田大学理工学部には女性が非常に少なくて、今1割にも満たない。18歳人口が減っていますから、アジア系から人を入れるのと、それから、日本の女性の理工学部の学生をどんどん増やしたい。理工学部の女性を増やすにはどうしたらいいか。女性の入学試験を易しくしたらいい。最初から何点以下でも採るというぐあいに公表して、例えば、立教女学院の生徒が、立教に行かないで早稲田の理工学部に行きたいというなら、早稲田に推薦で入れるようにしたい。そうしたら奨学金をあげるよというぐあいに初めから奨学金を決めたらいいだろう。私が、賞をいただいたお金の一部を寄附して、女性にだけ奨学金をやるから、これを運用してくれと言って金を出したんです。そうしたら、理工学部の私の後輩の教授は女だけというのはジョークだと思ったらしくて、決めた人が男性だったから、だめだと言ったんです。女だけという内規を書けと言って審査会の内規をつくらせました。そして2人のうち1人は必ずアジア系の留学生にして下さいといいました。留学生に限らないで研修生でもいい。大学院の留学生は大体国費で入りますが、研修生だと入れない。奨学金の使い方に条件も要らないことにしました。銀行利子が今よくないですから、利子では運用していけないのですが、数年で使いきって私が80歳のときにその奨学金がなくなるようにしました。

大学を退職するとき早稲田の理工学部の女性の化粧室が汚いと思いますので、私は250万円寄附をして新棟を建てるときに女性のトイレに使いなさいといい残しました。

1階だけでも立派な女性用化粧室をつくれば、理工学部に来校したときに、第一印象で立派だなと思う。それだからデパートは一生懸命きれいにしているわけです。早大理工学部の新棟が私の定年一年後に完成したのですが、私は女性のトイレに入ったことがなかったので、違いがわかりませんでした。後に理工学部事務局長に話を聞いたら、寄附したお金は全体のためにつかわれて仕舞ったそうです。

東京電力新宿支店の建物を改造するのにどうしようかと話がありましたとき、1階に立派な公衆用のトイレをつくれと提案したことがある。東京にある公衆便所は大変汚いので、外国人にとっても重要な問題です。東京にあるみっともない公衆トイレをやり玉に挙げて、ぜひ都市計画の中で、東京の汚いトイレを排除する運動をやってもらいたい。

一般に女性のトイレの数は男性のそれに比べて少ない。カルチャーセンターなんかに行くと、女性がトイレに列をつくって待っている。カルチャーセンターは女性のほうが多いんだから、女性のトイレを増やすべきだと思うのに、なぜか女性のトイレが少ないのは重要な問題です。

今から約35年前に理工学部の18階ができるときに、女性のトイレが一階にしかなかったので、私は暗室をつぶして女性のトイレを3階に1個ずつつくったんです。

 

古川 『大東京トイレ事情』(ロッキング・オン編集室、ロッキング・オン社、1986年)という本が10年ほど前に出ました。人間が入ってはならないのは、東武東上線の池袋駅だとか書いてます。今、どこのトイレはいい、どこのトイレはよくないなど、インターネットで東京のトイレの案内が出ています。

 

 

 

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