羽田を海のほうに広げて、深夜まで離発着して、空港税なんかは取らないで、その島の中だけはギャンブルもオーケー。その上がりは何%か出すというようなやり方のほうがいい。そういうのは世界都市とは言わない、国際都市と言うべきかもしれませんが、そういうこともやればできるはずです。これは国際的モラルに反すると言うかもしれませんが、ラスベガスが砂漠の中の何もないところに、今のように観光都市となったのは同様な理由からでしょう。
どちらにしても東京が国際都市になるためには、3空港が必要だろうと思われます。外国から日本へ来る留学生の問題があります。留学生の保証人をどうするかという問題とビザの問題とがあります。日本の外務省がビザをなかなか発行しないという問題。これは留学生が大学を卒業した後、日本電気に就職をしたくて、日本電気も受け入れると言っても、ビザをなかなか出さない。外務省が容易にビザを出すようにされることが望ましい。
私は大学に長年つとめた人間ですが、外国から来る留学生を増強すればいいだろうと思う。10万人の留学生問題というのが、今から10年ぐらい前に中曽根さんが言ったのですが、その後ちっとも増えませんで、今のところ5万人で止まっています。早稲田大学の例で言いますと、早稲田大学には5万人の学生がいますが、その中の1,025名が外国人学生です。アジア系が905名、北米系が108名で中南米系が11名です。この早稲田大学の留学生をどうやって増やせばいいか。
早稲田でも留学生に奨学金を出すという制度をやっていますが、留学生がそれ程増えない。今後は早稲田の外国からの受け入れだけではなくて、外国へ学生を出すほうもやらなきゃいけないと思われます。外国へ出す長期留学生を将来1,000名にしようという計画を早稲田大学で立てているんですが、今のところ292名です。300名にもならない。それも大学で金を出してやろうと言っても1000名の長期留学生にはならないのです。
国立大学への留学生はまあまあそれでも数多く、特に東大、京大はたくさんいますが、私立大学では留学生の数が増えない。増やすためにはどうしたらいいか。これは私立大学の外国への宣伝が悪いというのがありますが、宣伝するには宣伝するもとがなくちゃいけない。いわゆる形だけ宣伝するのではいけなくて、大学の特徴を知っていただく。そのためには早稲田大学にも個性をつけなきゃいけない。
私立大学の個性の喪失が問題です。早稲田にしても、慶応にしても、あるいは明治にしても、立教にしても、つくったときには個性があったと思います。ところが、個性がどんどんなくなっていく。それは私立大学がミニ国立大学化してゆくからです。大学がよくなるということは、高校から大学へ入ってくる入学生の偏差値がいかに高いかで決まっている。このように大学を評価している間は、ずうっとミニ国立大学化する。それをそうじゃない方向に変えていかなければなりません。
ところが、大学の自己評価という問題があるんです。大学が自己評価して、ここはまずいからなおすようにする。しかし自己評価はむずかしいので大学がお互いに評価しあうのはどうか。大学の評価はどこでやるか。大学の評価と自己点検とかをどうすればいいかというのは10年前から言われていて、ちっともよくなっていない。それをやらない理由がありまして、大学の慣性がものすごく強いんで、新しいことができない。
大学がいいか悪いかというのに切り口が2つあります。研究する大学、いわゆる学術先端のような大学と、もう一つは、開かれた大学として大衆化した大学、言い方をかえると職業人を世の中に出す大学です。職業人の育成を主眼とする大学と研究者を養成する大学とを1つの大学でこの2つの相矛盾することをやりたいという問題があるわけです。しかし、職業人の育成を主眼とし、大衆化した開かれた大学で教える先生は、教授として階層性が低いと思っているのです。教授というのは研究者として認められないと一流ではないと思っている。
早稲田大学も、留学生をいかにたくさん受け入れようかという努力はしています。特に私は、アジア系からたくさん人を取れるようにやったらどうだと思っております。