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何故オゾンの破壊の方が生産より早いのか。フロンが原因でオゾンを破壊するのに何か連鎖反応が関係するのか。多分、自然科学の知恵は大したことはなくて、まだわからないことがたくさんあると思う。

ちょっと1つだけお尋ねしますが、豚の糞尿を再処理するとおっしゃって、それは汚泥が出ないはずはないと思うんです。窒素分は出ていきますからいいんですけれども、燐酸が残りますね。それはどこかで処理しているんでしょう。

 

中川 これはよくわからないんです。

 

古川 というのは、インド亜大陸の牛の問題があるからです。ヒンズー教徒は牛を崇拝して、町の中をうろうろしている牝牛が3,000万頭いるのはムダだと農業経済の一部の専門家が言い立てています。

ところが、インド国中の牛が1年間に排泄する糞は約7億トンあるそうです。そのうちの半分は肥料になる。残りの半分は家の材料になるのを除くとすべて燃料です。インドでは森林はほとんど伐採され、チョロチョロと生えた草を摘み取って乾かして燃料にするなんて、いくら人手が余ってもできません。一説によると、牛糞は灯油換算で2,700万トンになる。

ついでに人間の糞尿には大量の窒素と燐が含まれています。おおまかな計算で1人が年間に化学肥料50kg分を排泄する。硫安3割、熔成燐肥2割、それに日本の人口1億2,000万人をかけると、糞尿を分離して全部リサイクルにして肥料にしたら、今の化学肥料生産量の10倍になります。日本の農業の需要をすべて満たして、輸出するしかない。

それなのに客観的な議論がないまま、近代的な下水処理設備に巨費を投じて汚水を浄化し、残りは焼却してスラグにして棄てるのはばかばかしい話です。糞尿は適当に処理してから海洋投棄するのが一番という説もある。そうしたら海中にプランクトンが増え魚も増える。

 

菊竹 貝殻なんかもほどよく汚染されて成長するそうです。

 

日下 だから江戸前の魚はうまいといわれた。

 

平山 ほどよく汚染されているからうまい。

糞尿を、今のはバイオでやるんですけれども、工学的に遠心分離器でばっと回して、からからにしちゃうんです。からからにしたものをすぽっと移せば、家庭で一番簡単な肥料がつくれるから、補助金を出すといって大阪でやりそうになっているんだけれども。

それをやると、その後、その一部を肥料に使おうが、何かの壁の材料にしようが、まず1回からからにしたものを、あと水分が出るから、水分は適当に何か別の処理をやって、からからにする簡単なのを家庭のトレイにくっつけて、ボタンを押すとすぽっすぽっとビニールの袋にからからになったものが出て、そいつを集めるといいのではないかということを、少し工学的な処理だけれども、推奨しませんかということを申し上げた。

富士山が大変な糞尿で、あと100年後の人に困るかもしれないから、今のうちに登山の便所にみんなそういうものをつけておいて、後でからからになったものを集めていく。

なぜそういうことを言い出したかというと、豆腐のおからが今でき過ぎちゃって困っているんです。それからビールのおからも、その処理が困るから、処理をするためにものすごく脱水処理をして、そして何かいろいろな壁の材料とか床材料にできるという話がある。大々的なところはさっきのような大きな畜産業にはできるけれども、各家庭のトイレに応用するという簡単な器具をつくらないかなと思っているんです。しかし、大会社はそういうのをつくらない。

イメージが悪いから、中小企業しかそういうものをやろうとしないということがありますが、糞尿処理の一次処理機を、しかも簡単なものをつくるとおもしろいのではないかという発想を持っています。

 

古川 植木屋が木の手入れをし、剪定した小枝や葉は焼却場に持っていくんです。これもばかばかしい話です。庭の中で乾燥させてチップにして、暖炉で燃やせばエネルギーを回収できます。是非とも家庭用で煙が出ずに煙臭くならない小型の燃焼装置を開発すべきです。

南極には特製の焼却炉を持っていっているそうです。昭和基地のために、環境に影響しない小型の焼却装置システムを作ったメーカーがある。

 

平山 大量に買わないからつくらないけれども、焼却装置は簡単につくれるわけです。

 

 

 

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