菊竹 水害の問題というのは、うちは筑後川の流域に住んでいる家系なものですから、大体、昔は毎年あったんです。だからおおよそどこら辺まで来るかはわかっている。田んぼはほどよく水につかったほうが、山の肥料がうまく田畑に行き渡ります。
古川 お家の軒先に船が吊ってあったんじゃないですか。
菊竹 船が吊ってありました。どんな状態かを見て、それで対応していくから、そんなに心配要らないんですが、都市洪水というのはもう全然わからないんです。
今度の名古屋の洪水なんかも、あの地域に集中的に降った水が処理できないわけです。はけないわけです。多分、名古屋地区というのは昔の水田跡じゃないかと思うんです。水田というのは、みんな今の地図を見ても緑色でばっと塗っていますけれども、これは水騒動が証明するように、とにかく10cmとか15cmぐらいでずっと田んぼが段々になっているわけです。それで上の田んぼに水を入れて、田んぼがいっぱいになったら、今度は次の田んぼに水をやるわけです。それで下のほうに行くときにはもう水がなかったりするから水騒動が起こったりするわけです。
だから平野全体、ずっとそういう高低差の秩序でできているものなんです。途中でそれを切っちゃうと、もう下との関係は切れてしまいますから。ですから、本当に日本の地形をよく考えた対応策を考えないと。都市の状況というのは関東でも、相当危ない状況のところがあるのではないかという気がします。特に東京はゼロメートル地帯になっているところは早々に対応を考えないと。
中川 地下鉄に水が入っちゃうと3年ぐらいだめだというのは本当ですか。どのぐらい影響があるんでしょうか。
古川 赤坂見附は2回浸水しています。だけど天井まではつからなかったから、そんなに致命的ではない。
中川 それはどうやって排水するのですか。やっぱりポンプアップですか。
古川 ポンプアップです。1回、僕は見附の近くで人と会う約束をしていて、豪雨と浸水で歩も動けなくなりました。すごかったですね。下水のマンホールが吹き飛んで、水柱がブワーッと噴き上がる。見る見るうちに地下鉄に流れ込んで電車が止まった。仕方ないからニューオータニの向かいの台地の上へ上がって、四谷に回って本郷に帰ってきました。
日下 先ほど海面の異常上昇はすぐ来るとおっしゃったけれども。
中川 いや、要するに南極の棚氷についてあまりデータがないんじゃないですか。それは起こらないという説は紹介されているけれども、一方で、日本じゃなくてMIT(マサチューセッツ工科大学)なんかで聞くと、これはいつ起こってもおかしくないというほうが強いんです。
日下 でも、氷が解けて、こっちの上昇は何年もかかるんじゃないですか。
中川 いや、かなり早く来ると聞いたんです。それで日本で読むのと大分違うので、どうなんですかね。
平山 氷河の橋がどんどん動き出しているんです。確実に解けています。
それから北極の氷というのは浮いているわけで、大陸がないので、止めようがない。南極は、800mの大きな堤防をつくってダムにしちまえというめちゃくちゃなことを言う人がいるけれども、そんなことはできっこないと思う。
中川 あと、北半球ではアイスランドの氷が相当問題になっているんです、外ではあまり聞かないですね、日本でも。
菊竹 日本から輸出している自動車が、紫外線をカットするガラスの基準が厳しいという話をしていましたが、もうオゾン層が大分とれて、屋外で日向ぼっこすることを禁止するような、そういう状態が始まっております。
糞尿のリサイクル
古川 北欧はそうです。子供たちに「きょうは校庭に出ないように」とか。
でも、あれも私はおかしいと思います。地球物理学領域の専門家に会ったら、一度訊ねようと思うんですが、紫外線が酸素に当たってオゾンができるんです。オゾンホールが空いたら紫外線は直に成層圏の酸素に当たるから、オゾンができて良さそうなものです。