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菊竹 スペースコロニーなんかはどうしているんですか。

 

古川 スペースは全部持って帰ってきます。あれはいろいろありまして、思わず笑い出すような試行錯誤の連続で、よくまあNASAの連中もばかなことを考えたと感心します。

例えば、小田原提灯みたいなキャンバスを作った。中でシャワーを浴びるというのです。さぞかし気持ち良いかと期待したら、何のことはない、水滴がむやみやたらに飛び散って宇宙船内は水滴だらけになった。人間の排泄物で、小の方はオシメが一等いいという結論になった。

大きいほうは袋に入れるんです。人工肛門をつけている人のようにプラスチックの袋に入れて、脱気して密閉して持ち帰る。宇宙に放り出す方法もあるけれど、宇宙時代になると後から行く人の迷惑になるなんて心配する人が出てきている。

 

菊竹 だから昔の江戸時代の糞尿のシステムはやっぱりうまくできていました。においだけちゃんと処理しています。

 

平山 一次処理したやつをトラックで持っていけば非常にうまくいくんじゃないか。

 

日下 昔、建設省(現国土交通省)、農林水産省とけんかしていた人の話なんですけれども、日本は温かいところだから、家庭用の水洗トイレから穴あきパイプを10m庭へ引けば、もうそれで十分ですという。それを地下深くやるからどっかへ出てくるので、地下2mか1mのところへ穴あきパイプで吸収させれば、もう周りの土が全部処理してくれます。だから多少の庭さえあれば公共下水道は要りませんと言ったから、つぶされちゃったんです。

だから各家庭でできます。だめなのは北海道、東北だけです。あとは穴あきパイプを伸ばせばそれで簡単です。

 

平山 私が30年前に最初の水洗トイレを東久留米につくったとき、下水ができていないものだから、それに近い話があったんです。大きな3m四方ぐらいの穴を掘りまして、そこへためたところ自然になくなっちゃう。それが下水ができたら、そいつにつなげたいというんです。結局下水につないだけれども、あの時代のことを市が聞いて、水洗トイレの補助金を幾らかくれました。自然に土壌に吸い込ませて、その水が方々へ還元するとおもしろいかもしれません。

 

菊竹 きょうは大変切実な話が、大洪水の話から水にまつわる話をいろいろお伺いできました。

 

 

 

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