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香港大学の先生方の主立った人はみんな英国人です。そういう意味で、果たしてこれからどんなふうに変わっていくか。その一方で、どっちかといえば台湾のほうに可能性があるんじゃないか、そんな印象です。

台湾が日本の植民地政策でうまくいっていた。そんなことを最近話してきたばかりです。

東京が、植民都市といったらみんなギョッとしたらしくて、日本から参加した早稲田大学の若い人が4、5人いたんですけれども、「菊竹さんから東京は植民都市だなんていう話は初めてだ」「いや、これは私の話じゃなくて、羽仁五郎さんが都市の論理の研究会でおっしゃったんだから、それを受け売りしただけです」と話をしたんです。

全く都市計画をやろうという気力がなくなっているのも、これは植民都市だからなくなっている。本当に自立したら自分たちでやらなくちゃいけないのが都市計画であり、インフラです。だけど、まだだれかがやってくれるんじゃないかというような、まだマッカーサーがいるんじゃないかという他力本願的な感じがしみ込んで、残っているんです。

 

古川 中国の遷都問題は出ませんでしたか。北京じゃ北過ぎるので、もう少し中央に戻そうという。

 

菊竹 そんなことを言ったら喜んじゃう。

 

古川 ニュースで流れていました、そんな提案が出ていると。

 

菊竹 そうですか。今、中国を支配している方々が上海派なんです。もともと毛沢東は満州から出てきているんです。

中川先生の前座をお話し申し上げました。それでは中川先生。

 

海面上昇で都市が水没

 

中川 最近、週刊誌なんかを見ていますと、必ず大震災が来るとか、それをどうやって震災にしないかということで連続で報道されていて、雑誌『ニュートン』が遂に竹内さんの直筆で東京の巨大地震というのをやりました。

じゃこれが起こったらどうなるのという話はもう皆さんがお考えでしょうから、その後どうなさいますかという話を2段目でやりたいと思っております。

 

都心部の水没

 

第1段目は、そういう大震災論というのをちょっとレビューしておいたほうがいいかなと思う。僕が一番関心を持っているのは海面上昇の徐々に来ると言われているものです。海面上昇が本当にあるときは一挙に大きくドーンと上がってくるはずなので、こちらの財団にその辺の研究はどうなっているでしょうかということを問い合わせました。

そうしたら非常にいい資料をみつけてくださったんですが、それはグラデュアルなシー・ライズの資料でした。一番最初に出ている環境庁の、英語と日本語と両方で書かれている資料ですが、これは5m海面が上昇すると日本列島はどうなるかという問題提起なんです。この絵で東京は真っ赤っかです。ほとんど都心部は全滅ということになります。具体的にイメージとして見ていくと、例えば、御茶の水駅の下に神田川が流れていますが、あれが標準水面を見る基準になる。

あそこから東京医科歯科大学のところまで随分高いように見えますが、標高点で調べると、あそこが19mとか20mしかないんです。本郷の丘がかろうじて20mです。ちょっと白山のほうへ行くともう18m、19mと低くなっています。ですから、あれが一挙に、5mだと下の辺でおさまっているけれども、津波のような格好で来た場合にはもうかなわない。狭まったところへ来るから20m、30m、ドーンと上がってきます。ですから、あそこが東京の生き残れるかどうかという境目を示している。

そうすると、東京大学がかろうじて残るかどうか。早稲田が意外と高いんです。あれは28mぐらいあります。私は文京区の茗荷谷に住んでいるんですが、ここはお茶の水女子大と元の教育大、それから今僕が勤めている拓大があります。これもやはり28mぐらいです。しかし江戸川橋のところから狭まってきているから、どうなるでしょう。

南のほうへ行くと、慶應義塾のあそこの三田の台がまたやっぱり28m、ここもぎりぎり。

そうなると、西のほうへ水がドーンと跳ねていって、わかりやすく言うと多摩川沿いに水がバーンと走っていって立川にぶつかる。

 

 

 

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