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菊竹 北海道の網走あたりの開発の話があり、あの辺一帯を空からずっと見たんです。これは簡単なことで、アラスカみたいな空港、女満別空港があるんです。あそこの空港の出口を非常にたくさんとって、そこに自家用機を何百台とアラスカのように置いて、専用の滑走路をつけようと思えばつけられるぐらいの、どこにでも止まれるような仕組みにして、あの地域全体を、工業とか、研究所とか、そういうものに変えたらいいのではないか。

その理由は防風林があるんです。非常にきれいな防風林が直線なんです。それで一定の幅があるわけです。これは国有地なんです。例えば、2,000mなら2,000mやろうと思えば、すぐ空港になってしまうわけです。そこに、例えば、幾つかの代表的な会社の研究所が来ると、そこまで飛んできて、乗りかえて自家用機で行くわけです。それが難しければ、今度は夏などの時期は、湖がいっぱいあるので、水上機を利用する。アラスカのほうは車輪の下にフロートをつけて、簡単にいくんです。だから、これは、この地域全体をそういう空港都市に考えたらどうか。

というのは、タンザニア、ウガンダ、ケニアという辺りにナショナル・パークはいっぱいあるんですが、あれは普通に行くと、車なんかで行ったら時間がかかってしょうがないんです。ナイロビで飛行機をチャーターして、ナショナル・パークの中にあるいろいろなロッジに行く。ロッジといっても英国式のすごく立派なホテルです。

目が覚めて、朝御飯を食べたら、後、また飛行機で見に行くわけです。そういうのを見ていると、これは飛行機を相当うまく使うといい。研究所というのは、日本は通産などがしきりに名前をつけてやりましたが、先端技術の超過密団地なんです。

 

佐貫 インキュベーターとか。

 

大学の中に飛行場

 

菊竹 ああいうのではなくて、英国のすぐ北の方にあるクランフィールド。都市全体の中に世界の先端技術を集めて研究所をつくっている。ホンダなども出したりしている。

大学が中心になっている。零落する英国に、何でこんなヨーロッパーのニュータウンがあるのかというスケールのニュータウンなんです。みんな、日本から行った視察の人は、研究所がいっぱいあって、産業がいっぱい張りついていると、先端技術の工場とか研究所があるというので行くと、何も見えないんです。高速道路をバスでずっと行って、そこの案内所だけ見て、映画を見て帰ってくる。

ところが、森の中に隠れたような形で入っていて立派なんです。そこに勤める研究者の住宅が、みんなタウンハウスの延長みたいに、レンガのガレージだったら、レンガで住宅をつくっているんです。ですから、新しい施設というふうに思わないんです。だけれども、中心の、クランフィールドのところのすぐそばにあるショッピング・センターは、フランスにもないような大きなショッピング・センターです。

 

日下 クランフィールド大学って、大学の中に飛行場があるんですね。

 

菊竹 2つもあります。これは、軍事費を使っている隠れた大学で、銃剣を持った人がいます。垂直離陸機などの開発、ホバークラフトの開発はクランフィールド大学が関係しています。キャンパスの中に戦車などがいっぱいあったりする。おもしろいところです。

ということで、あまり目につかないような格好で、森に囲まれていて、そこに施設をつくった。自然環境もいいし、研究者も悠々と、自分たちの村の中の1人として来て、働いて、また帰っていく。がつがつしない研究者の施設というのは、日本でも1つぐらいあっていいんじゃないか。北海道だったら、網走の5つぐらいの市町村が集まってつくる。

 

日下 東海大学があるんで、行ってみたが、寂しい。

 

佐貫 北海道の商工会議所連合会の伊藤会長は自分で道内を飛行機で飛んで、ビジネスを展開しています。ソニーの大賀氏も同じです。北海道でも旭川や道央メガロポリス地域ならすばらしい環境条件にある。とくに6月の梅雨期は、北海道にはない。

 

菊竹 防風林のところの1区画、2km区画ぐらいに温室をつくって、温室の中に自分たちの仕事場やプールをつくろうとしたことがある。

 

 

 

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