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日本のファンがたくさんできる。また、医療機器をつくる技術屋を養成する。開発・製造し、メンテナンスをこなせるような技術屋さんを養成して母国へ帰してやるのがよい。

それを東京でやると同時に、札幌、仙台、広島、それからそれに準ずべき都市に拡大していけばいい。それの1つのテストケースをここでやる。東京へは外国人がたくさん来るわけですから、そういう人をたくさん養成して、まずやってみる。21世紀の地域政策は例えば北海道は原子力とか、九州は宇宙関係というように代表プロジェクトの展開を行う。できるだけ九州と北海道。そこへは、欧米人、アジア人、ロシア人、多くの外国人技術者を招く。その場合に、必ず家族を同行させ、家族ぐるみで生活が出来る都市づくりを行う。

それでは、看護婦さんたちの生活環境をどのように想定しているか。大体15畳ぐらいの部屋と6畳ぐらいの勉強部屋、おふろ場とお手洗い、完全冷暖房付き。しかも全部屋ともにバッチ・システムにしてやって、日本に来ての生活はすばらしかったということを言って帰っていただく。これが、日本とアジアをつなぐ友情のきずなである。それの総元締めが東京です。

そういうことができるようなまちづくりをやるべきだというのが、私の東京都市論です。

 

●ディスカッション

 

都市の再編成で長期戦略

 

古川 東京はますます集中化する、一極独占という結論ですが、他の都市はどうして生きていくのか。

 

佐貫 例えば、東京でやることと、地方都市でやることとを分ける。地方都市の場合には、先端技術中の先端技術でなくてもいいんです。例えば、それの企画立案をして、それを事業本部に出して、そして品物をつくる。つくるためにエンジニアリング、生産施設の設計、生産、レイアウト、メンテナンスといった事業本部(母工場)と生産工場を一体としたハードとソフトの生産機能を優先配置することが大切な戦略と考えます。3200の町村を全部成長都市にはできません。300〜400都市に再編成した上で具体的な成長戦略を展開すべきと考えています。

そうしていかないと、大阪でもだめになってしまうでしょう。大阪は、東京のようなインターナショナルな機能をもつことはできません。例えば、株式市場と金融市場は東京だけで、それに合わせて端末を引くだけでいいのではないか。そのためにインターネットとか、いろいろあるわけです。地方はだめになるというのは、3,200ぐらいの市町村のうち約8割ぐらいでしょう。それの大部分は農村・漁村地域です。ですので、そういう市町村を再編成していかざるを得なくなるのではないか。その中で、例えば、ある程度集約していく。そこで、車で通勤、通学できる範囲に集結していくほかありません。

完全に国の力でも経済法則を完全に無視した地域政策は実行できません。例えば天竜(静岡県)といったところや、北海道の80%の市町村はある程度、栄光ある撤収作戦をせざるを得ないだろう。

 

過疎地が最も多い北海道

 

古川 我々の仲間でも、徳島県から来ている人たちは、とにかく親の墓を掘り起こして東京に持ってこようとする。墓参に行っても知っている人が一人もいない。村の中には3戸しか残っていない。ある人は、一族の墓を持ってこようかという。これはもう見放し、見殺しにされるわけです。

京阪神とか、中京あたりのところはどうしますか。あれはもっと小さく分割してしまうんですか。これが一等難しい。

大阪なんか、断末魔のあがきで今もやっている。

 

佐貫 中京はトヨタ自動車とトヨタグループの協豊会263社がありますから、成長力は極めて強い。例えば、カーナビゲーション。この世界一のメーカーは、アイシンの子会社です。そういうのが名古屋の強さです。

それでは、仙台はどうなのだといったら、西沢潤一さんとか、ソニーの技術センターがあるでしょう。そういう卓抜した技術力を中心に成長戦略を展開すべきだ。

今ご指摘の最大の問題は、日本列島の中で一番過疎地域が多いのは、北海道なんです。ですので、東京でうまくいったら、それを北海道にシフトしてやる。それが必要だと思うんです。

 

 

 

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