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大阪財界とまでいわれるほど、有力な企業が繊維産業中心に集積したのが大阪だったわけですが、重化学工業化、メカトロニクス化といった技術革新に遅れたことで地盤沈下している。それに対して、名古屋は紆余曲折を経ているものの概ね3番目〜5番目という形でベスト5のなかにランクされてきました。これはトヨタ及び協豊会263社のものすごい工業生産力を背景にして、名古屋の経済力が維持されてきたことによると思われます。

そこで、東京が持続的に成長しているわけですが、都心と郊外地域とに分けてみてみたい。郊外地域に焦点をあてると、千葉が1886年(明治19年)56番目でしたが、1940年には13番目に、1950年8位、1970年13位、1995年12位、2000年には11位というように東京区部の人口郊外化の受皿化していることが1つの特徴点と思います。と同時に、川崎も同じように東京都市圏の拠点都市として8番目〜9番目で上下しています。

これに対して、京都は3番目から7番目に落ちておりますし、港の町神戸も8番目から12番目に落ちています。明治の初期に、明治の元勲は3大国際港湾をつくるという計画を樹立しました。第1は神戸、2つ目は横浜、3つ目は仙台です。ところが、仙台はオランダの技術者が設計施工した堤防が台風で決壊し、再建途中に、松方緊縮財政のために、建設を中止させられました。仙台新空港も小沢代議士のために断念せざるをえなくなったわけですから、何か港機能に悪い因縁があるのではないかという感じもあります。

要するに、東京及びその周辺地域は、ものすごく成長、発展し続けているということです。

東京都市圏のシェアを1945年、95年、2025年の3つの時期でみますと(表2)、年々歳々シェアが上がってきて、あと25年たちますと、日本列島全体の人口のうち4人に1人は東京50km圏内に住みつく形になる。ということは日本の人口全体が減っていくこともあって、東京都市圏のシェアは拡大してゆくわけです。今までは東北、北海道とか、九州、四国、中国、北陸に主として公共投資を優先的に行ってきたわけですが、ほんとうにそれでいいのか、再検討が必要な時期が来ているのではないかと考えられます。

東京は、行政区域としての東京都という概念でとらえて都市改革を実行してよいのかというと、そうではない。東京メトロポリタン・エリアベースで検討すべきことが第1です。その次は関東という物差で考えないと、これからの東京論はうまくいかないのではないか。それを立証するために、〔表3〕をご覧いただきます。関東地方のシェアをみますと、23.9%から33.9%、34.5%と上昇しつづけています。人口の集中化が東京都市圏だけでなく、関東全般に集中しつつあることがわかります。しかし、2025年にはシェアが少し下がる。しかし、東京都市圏は12.9%、15.9%、26.9%というふうに持続的にシェアを拡大し続ける。しかも、東京都市圏の中では、神奈川、埼玉、千葉が外延的に拡大することは間違いありません。そうすると、やはり東京都市圏で東京の開発問題を考える必要があるのではないかと考えられます。

 

10大都市の経済力比較

 

〔表5〕によって10大都市のなかで東京の経済力を比較してみたい。都市モデルをつくり集積性、拠点性、成長性という3つの要素を統合したものが経済力です。これで見ていただきますと、東京は97点でA、ウルトラ・スーパーAクラスです。それに対し、名古屋が34点でBクラス、大阪は35点Bクラス。東京、大阪、名古屋と一口で言うけれども、その経済力の差はダントツに大きなものがあることを申し上げたいわけです。

その最大の原因は拠点性の高さにあろうと思います。東京の拠点性は100点ですが、この100点に対して、大阪が6.2、名古屋が5.1ですから、拠点性の力というものは、東京を1/1とすれば、大阪は1/16、名古屋が1/20、横浜が1/22で、東京の拠点性の高さが非常に強いことがわかる。これはインターナショナルな拠点性、ナショナルワイドの拠点性、ブロックの拠点性という多重構造型拠点性をもっているからです。

従って、これに加えて国際的なファンクションの今後の成長発展を勘案しますと、東京の成長性は90点、東京圏の中核都市・横浜が80点と圧倒的に成長力を持っている。それに対して、京都は40点で非常に低い。

 

 

 

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