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インターフェースが共通

 

古川 今でも放送機材はそうしています。

 

石井 つくるときはともかく、線を引くところまではいいんだ。やり出したらおもしろいけれども、終わってからもとへ戻すというのは元気が出ない。が、身につけた人が集まってきて、そこでファンクションは情報センター的な機能になって、解散すれば自動的にみんななくなってしまう。元通りになるのはすごい機能です。

 

尾島 データハイウェーとか光ケーブルとか、そういうものが要らなくなりますか。

 

石井 そう。それはこういうことなんです。そこは常時使っているところが出てくるだろうと思う。要するにけもの道です。使っていったらだんだん道ができてしまう。そこだけはそれにしたほうがいい。そういうものは先につくってしまうじゃないですか。初めからどっと来ないんだから。

 

古川 自分で進化する道をつくる。

 

石井 そう、自分で進化していく。セルフアダプテーションというか、自己組織化です。それが今はあらかじめ何かでわかるという前提でやるんですが、それがわからないという前提だとまずやってみる。成長しながら、そこはおのずと決まっていく。ここは光ファイバーにしたほうがいいということは出てくると思う。出てこなかったらやめちゃえばいいんです。出てくるか出てこないか、やってみなければわからない。

 

尾島 最初から引かないほうがいい。

 

石井 そう。しかし、こういうものを持った人が来て、どういうトラフィックが起こっているかは見ればいいんです。見て、ここは光ファイバーの方がいいとなればひいたほうが得ですね。

 

尾島 7、8年前に家電をコントロールするときに、いろんな電磁波の割り当てみたいなことを、部屋とか外とかを含めてやりました。今のデジタル家電では要らなくなりますか。

 

石井 これで全部できてしまうとなったら携帯の電波だけでいい。それから、もっとすごいのはこれはインターフェースが全部共通なんです、自動車と同じで。自動車の運転は一つ覚えたらそれでいいでしょう。あれは全部共通にしてあるから。これはメーカーが違うけれども、全部同じなんですね。これはすごいんです。それを何千万の人が毎日毎日やっている。これはものすごいトレーニング効果です。だから、変なインターフェースを作るなと言っているんです。ここヘディスプレーすればいいんだからね、ボタンだったらボタンを。それをクリックすればいい。それも学習効果としてはすごい。ヒュマンインターフェースを覚えさせるのはコストも結構かかっているし、嫌でしょう。だって、3カ月ぐらいで新しいものが出てきたら、そのたびに覚えるなんて大変です。僕もそうだけれども、最近、皆さんは説明書をほとんど読まなくなった。読むようなものは初めから競争に負けるに決まっているから。読まなくてもわかりやすいものじゃないとだめです。やっていれば自分で何となくできてしまう。

 

尾島 先生はそれで原稿を書かれるわけですか。

 

石井 いいえ。僕はザウルスを使っているが、これで万能と考えちゃいけない。これはたかだかリモコンだから。

 

尾島 連絡だけですか。

 

石井 ええ。僕もやっとこの1年で切りかわりました。僕の周りの人も、初めは湘南藤沢で朝から晩までインターネットをやっていた。キーボードはブラインドタッチだし、石井先生、モバイルは要るんですか、全部できますと。座ってやる生活をしていればそうなんだが、世の中は座っていない。現場に情報があるじゃない。例えば、災害現場なんかはそうです。座っていて映像がわかるなんてことはないです。

ニュースというのは遠くからヘリコプターで映すとか、あれなんです。放送法か何かに縛られているのだから。ところが、個人が通信するのは全く違うことです。現場からできる。

 

菊竹 そこから出る情報はよその人もとれるわけでしょう。

 

石井 そこでセキュリティが問題になる。

 

古川 アメリカが今度、膨大な通信傍受システムをつくりました。あらゆる通信を傍受して、テロとか不正な取引きに関するキーワードを拾って、国家安全局がのぞいている。

 

 

 

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