そうしたら見て、ちゃんとホームページがありますから、押すとぱっと入ります。そこで文章が幾つかあるんです。例えば、何とかさんに指示するとかいっぱいある。そこを押すと、すぐメールが行ってしまう。だから、やっているのはワンタッチだけです。
日下 孫正義さんに聞いたら、みんながよければよしというボタンがあると言っていた。彼はアメリカで毎日100件、本社から来る。それに返事をしているというから、そんなことはできるわけないでしょうと言ったら、いや、できますという。みんながよければよしというボタンがあるという。それじゃ日本式ではないのかって聞いた。
石井 とにかくトップがそういう組織を持っている。だから、みんながよければいいというのはみんながいいことをちゃんとやってくれる組織をつくって持っているということです。それにスタートの指示を出す。ワンタッチでできる。それでいいんです。
尾島 石井先生の秘書はどこにおられるんですか。
石井 一人は東京電力で、一人は東京海上、もう一人は三菱総研で、全部ばらばらです。だって、これはホームページが1つだから、そこへ行くだけです。もちろん、メンテナンスをする若い者がいまして、必ずトラブルが起こりますから、どんどん改良しないといかんわけです。だから、これをぽんと買って使っているというのはうそだと思います。そんなものを使いこなせるはずがない。チームをつくって、ソフトをつくって、今だって手直ししている。僕がなぜ使っているか、1つは手直しのためです。これがビジネスに必ずなります。石井先生がやっているのをうちに使わせてということになります。
今、ジャパンモデルという言葉があるんです。これがそうらしい。iモードはジヤパンモデル。
古川 1つ医療応用がある。看護婦に持たせて看護記録照合と入力に使う。医者に持たせても使わないから。
石井 医者はマネジャーだから、優秀なサポーティングパワーなんです。
古川 看護婦は患者に接しているから、情報はすべて把握している。それを上手に医療スタッフに共有させるには、iモードはもってこいだ。
石井 しかも、患者のそばでやるほうがいい。カルテをなぜ書くか、患者はいるんだから、それで実物はあるんです。スイン(支援情報網)のやつになると映像が入りますから、そうなったら映しておくだけでいい。映して声を吹き込んでおけばそれでおしまい。
古川 それで研究班を組織してみよう。
石井 ぜひやって下さい。若いから早くできてしまう。日本のサポーティングパワーは非常に優秀だと思う。つまらないことで縛って、与えない。おじぎの仕方とかそんなことを言っているからディスカレにされちゃう。これをやって、後で自分はこれで飯を食えるとなったら一生懸命やります。
古川 その前に一言、日本の病院管理者の多くは道理を知らないために、職員をやたら歩かせる建物をつくって平気です。これがまず第1の間違い。歩かなくて看護ができる建物をつくりゃいいんです。医師も看護婦も歩かなくていい病院建築はできます。
石井 建物をつくるときに、こういう機能を前提にしてつくられるといいと思う。今まではこういう機能がない前提でつくってある。
尾島 機能が早く変わり過ぎるから建物も困るんです。
石井 機能はほんとうに早く変わる。今はパソコンでも何でも3カ月です。
尾島 何かに合わせて建物をつくっておくとおかしくなるんで、建物は何も考えないほうがいいというぐらいでいい。
石井 だから、建物に余分なものをあまりつけてはいけない。全部こっちにつけないと。
尾島 人間側にね。
古川 建物は断熱、防音、プラスチック素材を使ってフロアプランの変更を容易にしておく。
石井 建物は要らないかもしれない。だって、もともと人類は建物がなかったんだから。今も情報的に言うと、花火大会なんかがあると、みんな、これを持っているから情報センターになる。一番すごいのは終わったときに全部なくなっちゃう。アポトーシスというんだが、自分で全部消去しちゃう。これが携帯のすごいところ。今までは撤去が大変なんだよね。撤去はむなしいわけ。撤去という目的が何もない。