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変化に対応する都市が必要

 

要するに都市の住民が変わり、ニーズが変わり、それに対応するものをつくらなくては将来の都市は意味がないんじゃないでしょうか。例えばiモードで考えるとユーザーが来年になったら2000万人になって、我が国のインターネットユーザーの主力になります。それが都市の中を動き回るということを今までは考えてもいなかった。この新しい状況を都市問題に入れると、これは全く東京という意味、あるいは日本という意味が新しく世界都市の意味を持ってくるのではないでしょうか。

 

●ディスカッション

 

菊竹 何だか夢みたいで、よくわからない。そういうことを考えて、そして急に収入が増えたりなんかしている若い人が実際にあるわけですか。

 

石井 あります。若い人というよりも、例えば、設備投資を考えましょう。今、1兆何千億円出せる業界なんてないです。忽然として新しい分野で1兆何千億円の設備投資がどこへ出てきたか。この関連なのです。だから、無視できない。

 

菊竹 それはモバイルの器具ではなくてソフトですか。

 

石井 両方です。全部ピュアなバーチャルリアリティーもあるわけです。ところが、ハードウェアをつくらないといけません。それから、ソフトをつくるのだってオフィスが要るし、その人はものを食べるし、その部分が海外にはない。ほかは全部、日本の方が弱いんです。しかし、iモードだけは日本が強い。要するに、携帯電話にインターネットがついたものはない。

 

菊竹 スイスのWEF(世界経済会議)で調査をやって、アメリカがITの分野で第1位だというのはもちろんよくわかるんですが、第2位がフィンランドだというんです。

 

石井 そう。だから、それは全部、従来のパソコンとかウィンドウズとかという世界なんです。これにインターネットが入る。キーボードがないから親指でこうやって入力する。こういうことは極めて独創的なわけです。これが何百万台の間はみんながうーんと言っていたけれども、何千万台になり、それが月に百何十万台ずつ増えている。1年に1,000万台増えるんです。多分、パソコンからこっちヘシフトします。特にアジアを考えたら携帯電話中心になるでしょう。携帯電話からインターネットに入ろうと思ったらこのタイプです。だから、今、ドコモのiモードに対して、ほかの国は目の色が変わるんです。

僕の身辺だと、アメリカのドクターコースヘ行っている者が帰ってきましたが、帰ってきて聞くのは1つだけ。「iモードはどうなっているのか」です。向こうに情報がないわけですから。

 

日下 これがグローバルスタンダードになってしまいます。

 

石井 それはわからないが、ものすごく気にしている。アメリカンカルチャーにないですから。それが忽然として日本でゼロからぽんと出た。

 

古川 きのう、僕もそういう関係の若い連中と話したのですが、どうして日本のコンピューターメーカーがテンキーだけで動くパソコンをつくらないのかと思う。

 

石井 パソコンの発想ではないわけです。

 

古川 キーボードを変えてしまうわけです。日本の家庭にパソコンがなぜ入らないかを考えると、キーボードの前で慣れない人々が苦しんでいる。

 

石井 この延長はデジタル家電です。パソコンではない。アメリカンカルチャーは、コンピューターカルチャーから行こうとした。それしかないと思った。もう一つは全く違って、テレビのリモコンなんです。

 

古川 ははあ、大多数の人はパソコンを知らなくてもいいんですね。

 

石井 だから、パソコンなんか全く要らない。

 

日下 キーボードも要らなくなるんですね。

 

古川 坂村健さんの提案したキー配列に倣って、思い切ってテンキーだけのキーボードを作ってはどうですか。

 

石井 そこにこだわってしまうと、あんなのは要らないんです。それから、パソコンが万能過ぎた。立ち上げるために1分かかるでしょう。これも要らない、あれも要らないと消してばっかりいるんです。自分がやりたいことのためにね。ほんとうは意味ない。

 

 

 

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