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今10年後にそうなるはずだといっているのが、5年たっても全く動いていません。その現状に対して真摯にハイパー政策を復活する。木密地の中心にハイパービルを配置するプロジェクトを展開することが大事です。

周辺区は木密地をいっぱい抱えていますから、区の都市計画のマスタープランの中に、拠点をつくっていくといった大胆な提案があればと思います。

 

歴史と文化のランドマークを

 

第6はランドマークをつくる。歴史的なランドマークで、東京はこれから世界の首都と競争しないといけません。都市間文化戦争が起こるわけですから、やはり東京のステータスを高めるためには400年、あるいは500年の東京の歴史をきちんと印象づけて、それをもう少し大事にする。歴史的ランドマークを大切にということで、ランドマークを歴史の先生にプロットさせましたが、ないんです。皇居とか、10指折るのが大変です。21世紀に残すような東京のランドマークを10挙げろというと、挙がりません。シティーホールだといって、果たして都庁が100年残るか本当に恥ずかしいんです。皇居を除いて。銀座の和光が22世紀に残るか、国立劇場が残るかとかやっていきますと、22世紀に残るランドマークが本当にありません。これはやはり由々しき事態です。それから建物周辺の立地と合わせて、ランドマークというのは周辺の景観と合わせて残るものです。東京の中心だけではなく、副都心ができるならば、東京の副都心、しかも首都圏というのは数10kmに広がっています。副都心機能とか核都市機能がありますから、随所にランドマークがないといけません。

従って、東京の歴史と文化のランドマークとは何なのか。少なくとも各区に1カ所とか、あるいは首都圏に対してどのぐらいとか、100年以上、500年残すべき世界文化遺産まではいかないまでも、日本の文化遺産として、みんなで大切にするといったランドマークをつくる。それが場合によっては駒抜きになるかもしれない。

臨海部にも産業コンビナートもあるでしょうし、20世紀の立派なものというと、ひょっとしたら、どこかの工場とか、だったらそういうものも残すというようなことで、もう1回ランドマークをきちんと記す必要があります。

 

遷都後の都市計画が必要

 

第7は遷都です。仮に東京を遷都した場合という話で、今度はソフトの話です。仮に遷都が起こったとしても、何を残していくか、首都圏の3,000万人の人が50万人ぐらい移動したとしても遷都された後の都市計画こそが大切だということと、遷都した後の対策のことを考えてみたいと思っています。

 

●ディスカッション

 

菊竹 大変怖くなるような話もありましたし、新しい問題として、どこまでやれるかということも含めて、いろいろな問題点を挙げていただきました。

 

平山 大都市のライフラインというものは人間の骨格のような感じがいたします。人間の背骨の中には神経も入っているし、血液も通っていますから、年をとるとバックボーンが老化して、血液が先まで行かなくなるのと同じように、大都市が巨大化し老化してゆくと、ちょっとしたことで、電気、水、通信が隅々まで流れなくなって仕舞うおそれがあります。

そこで巨大都市を人工的な河川で分割して、その分割した地区の人口は約10万位にうまく区分し、それらの分割した島のような地域間を大深度地下ライフラインでつないでゆけば、生物の骨のアナロジーでうまくゆくかもしれません。

巨大な生物はどのくらいまで巨大になりうるかということがありますが、それと同様に大都市もどこまで巨大になりうるかという成長の限界というものがあると思います。巨大都市をうまく分割して、その間をライフラインで接続しネットワークをつくれば、巨大化の欠点が補えて、成長の限界を大きくすることができるのではないでしょうか。

地域を分割する人工的な河川の両側の土手を広くとって緑化すれば、災害時のドミノ倒し的波及を食い止めると同時に、平常時の生活環境をよくする機能をもたせることができます。運河とお堀の機能をもたせた近代的河川を縦横にはりめぐらせて、大深度地下パイプラインを骨組みとしたライフラインをネットワーク的に構築すると、次の時代の大都市ができるような気がします。

尾島先生の第1〜第5まですべてを組合せた総合計画があると面白い。

 

 

 

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