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これで線的に東京を再生します。50年で埋めたのだから50年で掘ればいいではないかということです。これまでの道路は車のための区画整理で容積を上げていたのですが、今度は水道と緑の道のために容積を移すということであれば、先ほどの大深度地下でもしインフラができて、容積をそこに移しかえると、交通結節点をアップゾーニングして便利になります。水道に関しては緑を大きくしています。そこをもう少し豊かに、自然と住居があるような税制の誘導が必要で、大事です。そのためには道路のための区画整理ではなく、今度は緑の、あるいは水道の区画整理を新たにやって、それがドミノを抜くための新しいインフラになっていくというのが線の提案です。

 

木造密集住宅地の復興

 

第4は面で、木密地ということです。東京直下型地震が来る確率は大変高いということです。木造密集住宅地帯、要するに環6、環8ではまだ200万所帯ぐらいが木賃アパートです。阪神のときも圧死した人とか焼死した人が6,000人もいます。阪神でさえそうですから、東京の場合はその数では済まないということがはっきりしています。このために緊急対策で、10年以内に11カ所の重点地区を指定して、木造密集住宅地帯に対しては、率先してプロジェクトを展開することになっています。でも阪神から5年経っています。この木密地が10年以内にどれほど動いたかというと何も動いていません。面的に木造密集住宅地帯をどんな形で再生するか。阪神から考えれば、やはり地域に今ある形の基準法、都市計画法の中で縛りながら、木密地の再生を住民自身の手でやらせようと思っています。これを何らかの意味で対策が立てられないかということで、ハイパーに注目しています。

逆に木密地にハイパーはできないかということで、住み分けます。同じような形の木密地では、超法規的に木密地対策をやらない限り、耐震型の密集住宅地にするのはなかなか難しいですから、次の木密地を今の形でやるのです。

東京都がうんとお金があったときに、1兆円を投資して江東区白髭の防災拠点をつくりました。白髭再開発で十字高層とか、万里の長城のような壁をつくって、そこに移したんです。何であれ白髭は1つの街を転換しました。しかしながら、その10倍以上の空間が山の手に広がっています。そこに今10兆円、20兆円のお金を投下して木密地の再生を白髭のような形でできるはずがありません。したがって今度は行政主導型ではなく、民間主導型の、しかも超法規的に、ハイパーを考えるということです。

 

超法規的な新都市計画

 

第4、5は超法規的な問題です。公共投資で環6、環8間の木密地に超高層型住宅をつくって、そこに工業、商業も入れて、建築のインフラストラクチャーで何とか安全を確保したい。スーパー舗道やスーパー林道をつくるくらいなら、都心の1,000万人近い人が住んでいるところに公共投資して、木密地を極力緑化していくということをやらなければ、ドミノが防げません。ドミノの駒抜きには、小さなドミノの駒の中に、大きなドミノをぽんと入れると止まります。ですから木密地の真ん中に高層ビルをぽんとつくると、そこで止まります。類焼は防げます。木密地の中に緑の小さな公園をつくるのも大事ですが、そこに高層ビルをつくれば壁になって、そこで止まってしまいます。木密地に相当するところは住居地域、あるいは一種住専という形で、高さを制限したり容積を規制していました。それをやめてしまい、木密地の面的なところに高層ビルをぽんとつくらせます。

そのかわり、周りを緑化します。周辺に容積が十分あるわけですから、容積をそこに移しかえて拠点的に安全基盤を整備します。要するに木密地に何かがあったときに、自衛隊がハイパービルまで空中から来られるとか、地下からアクセスできるとか、あるいはそこには防災的な拠点も蓄えられています。あるいは情報や、エネルギーの備蓄(ライフポット)があるとかいったことを、木密地の真ん中に点的に配置する。

 

 

 

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