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ところが今、着陸地点は全くありません。したがって第2番目は点です。何であれ200〜300点のポイント、そこだけは助けられるような点の確保が必要になります。校庭であれ屋上であれ、一時避難広場周辺に対して、たどり着く点を獲得することが大事なことです。自衛隊にとっても、この話は大変ありがたい話だといわれています。この地図や模型は自衛隊が、シミュレーションに使いたいと預かっていきました。面的に全部を俯瞰して見る訓練する方法がなかったのです。どういう点を確保するかということで、一時避難広場と広域避難広場、都、区が指定するものに対して、自衛隊レベルで、少なくともこの場所は欲しいという点の提案をやっていきたいと思っています。

 

クールアイランドを創出

 

第3は線です。結局ドミノ都市、連鎖都市のようなものをどう結ぶかというと、線で結ぶしかありません。要するに延焼しないように、ドミノの駒抜きをしたいのです。道路はすべて区画整理を車のためにやりました。しかも放射と環状線で道路に切れ目がありませんから、四つ角ほど容積が上がっていて、ドミノの駒が抜けません。したがって唯一ドミノの駒が抜けるところは河川です。これは間違いなく隅田川、多摩川、荒川が抜けています。本来、渋谷川、宇田川、日本橋川などの河川は、唯一ドミノの駒が線的に抜けるところです。

従って河川の水道を、もう1回掘り起こしたい。ところが河川の上はご存知のように物流の高架道路であり、下水の合流河川です。例えば銀座の辺りもそうですが、日本橋辺、みんな堀や河川にすべてふたをして下水本管にしました。都市内河川を下水幹線にしたかわり雨水も非常時には全部下水幹線を流れることになってしまいました。ですから東京の雨水はすべて下水幹線に流れて、汚水処理場に入って処理され、東京湾にポンプアップされて捨てられます。大都市ではこういうところは東京だけと言っていいくらいです。こういう前近代都市はありません。

上水も下水幹線も、ポンプの電力料金だけで年間各100億円を超えています。ついでに言わせていただければ、東京首都圏を含め、日本の都市は世界で最悪の熱エネルギー効率です。北京でもソウルでも、熱エネルギー効率が6割ぐらいに達していますが、東京だけはすべて電力の排熱を使っていません。火力の排熱、ごみの排熱を使っていませんから、全部電気やガスで冷暖房、給湯をやっています。しかし、電気やガスで給湯をやっている国、大きな都市は世界にありません。東京、大阪、日本の都市は最悪の熱エネルギー効率です。

スケールメリットから電力だけの効率をどんなにアップしたとしても、効率からいったら最悪になります。サンシャイン60ビルの地下へ行きますと、水を再生する地下3階の空間がどんなに悲惨な状態かがわかると思います。落合、芝浦の下水処理場は、実は雨水も全部入っている水ですから、広域利用でそれをもう1回都心に再生して、散水用、あるいはトイレの給水用に使えば、すぐに5〜6割は使えます。実はその水も全部、利根川から引っ張ってきて使っているわけです。すべてワンウェイです。エネルギーも全部ワンウェイです。1回しか使いません。こういった都市は、大都市ではあり得ません。こういったことのためにも、先ほどのインフラ幹線を使って再生する必要があります。

水運から陸運になりましたから、すべての河川が高架に道路を持ちました。物流はもともと江戸も水運でした。物流も水運だったものが陸運に変わったわけですから、高架道路にダンプカーが走り回っているわけで、その景観たるやビッグです。ドミノを切ってくれるはずの河川が高架道路に変わり、しかももっと小さな河川は埋め立てられています。従ってクールアイランド、あるいはドミノの駒を取ってくれる河川の地表には水が出ていません。ですから何とか河川も水道をつくって、その水道に緑を植えれば、それが風道になるのです。

何とかもう1回河川を再生させて、下水と河川水、排水を合流から分流にして、下水は下水本管をきちんとつくるべきです。降った雨は地表河川に流すということをもう1回やれば、親水にもなりますし、ひいてはドミノの駒抜きにもなるわけです。何とか洪水対策と合わせて河川の再生ができないかということで、今ようやく玉川上水、野川とか、いくつかの河川でできています。古い河川も再生ということで動き始めました。下水も幹線に少しずつ分け始めています。

 

 

 

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