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外国人居住者の保証人

 

看護婦さんに関連してお話をしたい。フィリピンを含めて東南アジア系とか、ぜひ看護婦さんが沢山日本に来るようにしていただきたい。CSKの大川さんが東京医大にフィリピンから来た看護婦さんに奨励金を出しているそうです。早稲田にお金を出すよりは意味があったよと言われたことがあります。東南アジア地域から来た看護婦さんを日本で育てて、すぐに国に帰っちゃうと困るという話があります。私立大学でアジア系の留学生が、国へ帰って偉くなって役職につく人もいるんだけど、ほとんどその国には何の役にも立たないことを日本で研究しているんです。日本に留学して日本で勤められるようになるためのビザを発行してくれるというのか、あるいはアジア系の留学生が日本で勤められる社会環境が非常に悪い。

外国人が日本にいて職業を持つためには、保証人が要るんです。そうしないと滞在ビザを取れない。その保証人を探してくれる財団ができたらしい。韓国人の保証人になったことがあるのですが、この人が借金したらおれが背負うのかなと言う不安な気もする。日本の大学の聴講生とか研究生になると、永久ビザが取れなくても、カードがつくれると東京に居住権があるのと同様な社会習慣があります。保証人と学生証とでカードをつくることができるのです。そうすると、そのような研究生の保証人に私がなると万一カード破産のようなことが起こると怖いと思います。

 

古川 私も留学生の引き受けで公証人役場に随分行きました。保証人制度が緩和されると、大学の指導教官も助かります。

 

平山 外務省ぐらい保守的なところはない。日本の文部省もしようがないけど、外務省もしようがない気がしているのです。

それから、昔はお殿様とか、金持ちとかが芸術の保存であれ、芸術家のスポンサーであったのですが、これからは日本の大きな大学が芸術のスポンサーになるべきだと総長にいつか話していたら、その時一緒にいた篠田さんも「そうだ、そうだ」といわれ、やっと芸術に関する専門学校を早稲田でつくろうという話になりました。芸術家というのは小・中・高校時代の学業成績の悪い連中を集めて、その中から育てた方がいいと思いますが、その人達は今の早稲田大学の入試制度では入れないです。一時代前まで早稲田大学にはだめなやつが入ってきていたころがあって人材の幅が広くて、100人に1人ぐらい変わった面白い人物が出て、社会で活躍しているのです。橋田寿賀子がその一人ですが今の早稲田は受験勉強で疲れた人たちが入ってくるので、スポーツは弱くなり、特徴のある芸術家は出てこなくなってしまった。今のPTAと塾に毒された一番学業成績が優秀な人が医学部に入るんです。その被害が最近出て来たんじゃないかと思われます。一般に50歳過ぎのお医者さんは非常に立派ですけれども、30歳以下のお医者は非常にたよりない気がします。早稲田の理工学部は幸いにして今斜陽でして、10年前からだめなやつが入ってきています。これから早大理工学部は大変変わった人材が出てくることを期待しています。

ホームドクターが昔いたんですけれども、今は総合病院に医者が集まって、東京にはホームドクターが少なくなっているのでどうしたらいいんでしょう。

 

医療専門分化の害

 

古川 女医さんをホームドクターにする合意形成をして行く。女医さんにも素晴らしい力量の人がいます。そういう人は専門医になっていいんですが、大体は家庭を持って子供を育て、夫の面倒も見ている。そんな制約下では専門医は勤まりません。オペラ歌手に毎日夕飯を作れというようなものです。ホームドクターには原則女医を当てる。

看護婦問題の原点は、医療関係者の定員が足りないことです。外国から不足分を受け入れる、教育するという案は日本の身勝手です。看護学校の校長をさせられ、入学式で講話をし、父兄を交えて茶話会をします。若い娘で看護学校に入ってくる人は本当に純真で、患者のために働きたい、一途にそう思っている。だけど、定員がないと希望の勤め先に入れない。それは硬直化した官僚の誤りなんです。厚生省が旧態依然としているからです。総定員法ができて公務員数が制限されたのは随分古い話です。昭和50年代でしょう。

 

 

 

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