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我々製作者の立場から考えると、クリエーターが育成される環境と、それから、生み出した権利を保護する体制、この2つが整備されていない国には人もお金も集まらないのが原則だと思います。そういう意味で、アメリカが映画やアニメーションの分野で発展してきたことはよく理解できます。

アメリカのテレビ環境について言うと、先ほどFCCという名前が出ましたが、このFCCがアメリカの製作者を強くしたという事実があると思います。日本の著作権法でも製作物は製作者に帰属すると明記されています。しかし、はっきり言って、日本のテレビ界では力関係が作用している。暗黙のうちに、権利をよこさないと放映枠はやらないよと、簡単に言えばそういう話になっている。アメリカではそうならないような制度がきちんと法律として明文化されていたと理解していますが、それがアメリカの製作者を非常に強くしたのではないでしょうか。

ただ、それが最近は緩みつつあるという話も聞いています。いずれにせよ、日本でもそのようなFCC的なルールの確立が必要なのではないか。

私自身はまず製作者を育成して欲しいという考え方を持っていますが、今のアメリカでFCCがだんだん条件を緩めてきているという理由も一度お伺いしたいと思っています。

 

リチャード 確かにクリエーティブアーチストがきちんと保護される体制は重要だと思います。アーティストは、時間とエネルギー、そして、お金も費やして新しいクリエーティブな作品を作り上げるわけですから、音楽なりキャラクターなりストーリーなり映像なり、それは何でもいいんですが、作った人が著作権の所有者であるべきだと私は思っています。アメリカの場合、例えば私が何かをつくったとしますよね、そうしたらば、例えばリチャード・ワインバーグ・コピーライト、というふうに入れればもう私がその著作権の所有者になるという感じなんです。

日本では法の不備に関していろいろな問題があるということをお伺いして、とても興味深いと思いました。やはり法の制定と施行が必要でしょう。特にクリエーティブな業界で働く人たちにとっては、何かしらの形で保護する策が必要です。

 

 

 

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