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それから、私が香港のマンガサミットに行ったときに、余り3Dとかテクノロジーに頼り過ぎると、スピリッツの方がおろそかになってしまう。肝心のストーリーの方がおろそかになってしまうのではないかという声があったんです。

その2点についてちょっと御意見をお伺いできればと思います。

 

牧野 では、久保さんから。

 

久保 実際に仕事をしていると、もはや日本とアメリカとを分けて考えることが今の仕事ではできなくなってきています。アニメーションをつくっている上で僕が一番気にしているのは、アメリカにあるFCCという組織です。これはアメリカの文部省みたいな組織なんですが、彼らが子供に与える影響度をはかって、アニメーションの暴力シーンとか性的な描写などに規制をかけてくるわけです。製作においては、FCCをどうやってクリアにしていくかが重要で、余り日本とアメリカというふうに分けて考えられません。

将来的なことですが、せっかくワインバーグ先生とお知り合いになれたので、アメリカのこれからこの世界へ飛び込もうとしてる人の中から何とかいい人を見つけて、是非とも一緒に仕事がしたいと思います。日本の法整備が整うまで、とりあえずアメリカのそういう優秀な人たちとコープロダクションできる環境にしたい。今後ロサンゼルスのリチャード先生のオフィスに行ったら、是非優秀な生徒を紹介してください。

 

牧野 リチャードさん、一言いただけますか。

 

リチャード まず、2番目の質問からお話ししたいと思います。技術とストーリー性の関係についてですが、アメリカの映画界では、使われている技術はすごいけれどもストーリーがひどいという時代が長い間ありました。ディズニーの映画でも同様に、優れた技術を使っていながら観客が集まらなかった時もありました。やはり、ストーリーが面白くないとお客さんは見に行かないわけです。心にぐっと訴えかけるものを観に行くために友達と一緒に映画を見に行くわけですから。

 

 

 

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