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牧野 アニメーションだけではなくて、コミックの世界でも、キャラクターの類似、コピーという問題、それから、物語の原作者と絵描きさんとの対立がたくさんあります。具体的事例には、「キャンディキャンディ」という人気マンガがあります。原作者とマンガキャラクターの制作者とが今最高裁で争っているんですが、リチャードさん、アメリカではこのようなマンガ作家と原作者との争いというようなものが法廷にまで持ち込まれるという事例はあるのでしょうか。

 

リチャード 恐らくたくさんそういった例はあると思います。アメリカで特に大きなケースとしては、並行製作というものがあると思います。ナップスターという会社を皆さんご存じかと思います。この会社は音楽をインターネットを通じてユーザーに提供するサービスを行なっていますが、これがやはり著作権の侵害ではないかということで法廷て争われています。多くのアーティスト、ミュージシャンですとかレコード会社などがナップスターを相手どって訴えを起こしているわけですね。著作権料をきちんと払わないでインターネット上で音楽という商品をやりとりしていいのかどうかという点が争点になっています。ある裁判のある段階では、ナップスターが、音楽についてロイヤリティーを払うことなしにやりとりをするというのはいけないという裁定が下されています。

デジタル技術の分野を見てみますと、似たような例はあちらこちらで身受けられます。例えば、インターネット上にたくさんのキャラクターが出ていますよね。こういったキャラクターがデジタル形式でつくられて、それをただで誰かがやりとりしている場合、これもまた著作権の侵害の問題になるわけです。恐らく、デジタル化されたものの売買というか、やりとりの方が、それこそキャラクター商品とかトレーディングカードのようないわゆる物質としての物よりもっともっと問題が込み入ってくるのではないでしょうか。

 

 

 

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