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久保 日本は、ゲームが発売されて、それがマンガになって、それからアニメーションになって、テレビで見ることができて、最後に映画になっていったわけです。ですから、物が発達している段階を自然の流れで追っていったわけですね。ですから、最後に映画をやったときには、認知度はほとんど95%以上だったと思います。ですから、当たって当然の世界だったという気もしています。もちろん、4ヵ月にわたる放送中止というのもあったわけですが、映画に関して言えばものすごくパワフルであったと思います。

ところが、アメリカヘ持っていったときは、テレビのシリーズを先に出して、それからゲームボーイのソフトを売って、それでカードゲームを始めて、カードゲームがヒットしたのを受けて、カードゲームのプレミアムカードをおまけにした状態で劇場の公開へ行ったわけです。ですから、マーケティングの考え方が日本とは全く違います。まあ、アニメーションの力にかなり頼ってポケモンはアメリカヘ出ていったんですね。それと同じようなやり方をヨーロッパでもやりました。

アメリカで受けた理由は、その意味で言うと、アニメーションの力、それと、カードゲーム。アメリカではカードゲームがものすごい歴史を持っています。先ほどワインバーグ先生もお父さんがカードを集めていたという話をされましたが、日本とカードゲームの歴史が全然違うわけですね。ですので、この2つがものすごい両輪となってポケモンをプッシュしていったわけです。日本とアメリカの違いはそこにあって、アニメーションの力がよかったんだと思います。

韓国では、ゲームボーイのソフトがなくて、カードゲームもつい最近発売になるまでなかった。テレビシリーズが放送されただけだったんですが、昨年の12月末に韓国でポケモンの映画がやっと公開になりまして、非常にヒットしてます。ですから、アニメの力だけでポケモンは売れているわけです。そういうことを考えてみても、アニメーションのできがよかったんだと僕は思います。特に第1話は、たった30分に凝縮されていますが、ポケモンのすべてを語った上で、恐らく見ているほとんどの子供は泣いたのではないかと思います。それほどできがよかったと僕は思っています。今までポケモンを170話ぐらいつくってますが、その中でも一番いい話は第1話だと思っています。その第1話が力を発揮したんじゃないかと思っています。

 

 

 

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