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大学生時代というのは、自分のプロジェクトを探究することのできる唯一の時間とも言えます。ですから、学生に対しては、本業でなくてもいい。一生に一度しかない時間かもしれないから、とにかく自分のやりたいことに没頭しなさい。自分がディレクターになって、サウンドデザイナーになって、エディターになって勉強しなさいというふうに言っております。

今回学生のアニメーションをご紹介するにあたっては、テレビのコマーシャルのような作品ですとか、映画の「マトリックス」のような作品も持ってくることもできたんですが、私は敢えて先ほどの作品を選びました。他の作品とは明らかに異質ですし、それに、平面、2Dのプロジェクトだったからです。

ところで、先ほど2Dと3Dのミックスの話がでましたが、大きなターニングポイントはディズニーの「美女と野獣」だったと思います。基本的には2Dのアニメーションだったのですが、舞踏会のダンスのシーン、突然ここで3Dの世界が繰り広げられました。そのときに観客は、あれ、ちょっと世界が変わったぞ、という気がしたと思うんです。2Dの環境が突然3Dに変わってしまったからです。ディズニーにとっては何か新しいことをやってみようという試みだったと思うんですが、観客も無意識の中で、もしくは潜在意識の中で、何かちょっと変わったなという気持ちになったと思います。2Dか3Dかという細かいことは知らなくても、そういう気持ちがしたと思います。

このように製作過程の様々な局面で新しい技術を試行していくのが現代ではないでしょうか。

 

牧野 久保さんの目からご覧になって、ピカチュウのヒットというのは、営業テクニック、売り方が非常に優れていたのでしょうか。作品独特のキャラクター展開とか物語の構成において今までになかったような独特のものがあったのでしょうか。是非、プロデューサーご自身からその辺のポイントを語っていただけたらと思います。アメリカの興行成績を塗りかえてしまうエネルギーというものはどの辺にあるのか。

 

 

 

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