日本財団 図書館


リチャード 「スーパーフラット」は現代美術の展示会なんです。1週間前から美術館で開催されています。

私がなぜ興味を持ったかというと、やはり日本文化に対する大きな興味、日本のイラストやマンガに対する大きな興味がアメリカにもあるということがこの展示会で証明されているからです。大変人気のある展示会で、実はオープニングの日には入ることができなかったほどです。

そして、展示されている作品もとても面白くて、平面で立体を表現している。例えば、1つの航空機の写真があったんですが、壁に張ってあって、小さな航空機がまっ平らで表現されている。そういう作品もありました。先ほど皆さんにお見せしたイラストも、やはり立体をわざと平面につぶしています。

ですから、日本の芸術の歴史を見てみても、過去の時代でもやはり3D、2Dの発展。それから、ミックスというものもきょう説明されましたが、マンガの絵を見てもとても平面的です。わざと3Dの立体的なスペースを平面的な空間で表現しているという意図が見て取れますので、それが展示会のテーマとしておもしろいと思いました。

 

牧野 どうもありがとうございました。

久保さんのお話の中にもたくさんの興味深いポイントがあったのですが、「3Dにしたものをわざわざ2Dに落として、セル画の温かい表現と3Dの冷たさというものをマッチさせようという努力があるんだ」とおっしゃいました。これは、これから日本のアニメーション、ストーリーマンガを語るときに欠かせない重要な要素だと思いますが、久保さん、このような3Dとセルアニメの魅力を合わせるというような考え方はいつごろから出たものでしょうか。

 

久保 そうですね、やはりセル画は人海戦術で行われているものですから、細かなものを描いていくことはなかなかできないんですね。作り手側もどんどん複雑な要求を出してきます。

ちょっと余談になりますが、黒澤明さんとアニメの宮崎駿さんが対談したことが過去にありまして、黒澤さんは宮崎さんを見て、いつも自由にかけていいですねと、宮崎さんは黒澤さんの方を見て、いつも外で仕事ができていいですねという話をされたんですが、やはり立体のものと二次元のものというのが今まではなかなか相入れなかったし、立体のものの方がいいものであるという考えがあったんです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION