野崎 それでは、パネルディスカッションに入ります。よろしくお願いいたします。
牧野 ただ今お話をいただいたお2人に朝日新聞の佐藤記者、そして日下さんに加わっていただいて議論を進めます。
大変興味深いお話をいただきました。本当にありがとうございました。久保さんは見事に整理された資料をおつかいになりましたが、いつも講演にパソコンをお使いになるのですか。
久保 そうですね。ご覧いただいたものは今日のためにつくったものです。
牧野 そうですか。最終フォーラムにふさわしい「まとめ」ができ、感謝しております。ありがとうございました。佐藤さんは朝日新聞社の経済部にいらっしゃって、マンガやアニメーションという分野に対しても非常に強い関心をお持ちであります。「日本を救うのはマンガ、アニメだ」と本フォーラムの趣旨と非常に近いご意見をお持ちであると聞きましたが、お二人の講演をお聞きになった率直なご感想からスタートしていただきたいと思います。
佐藤 佐藤です。私は経済部の記者をやっているものですから、関心は1つしかなくて、日本はこれから何で食っていくのか、日本人は何からの収入で生きていくのか、その関心しかありませんでした。去年からずっとその問題を紙面で追ってきまして、結局たどり続いたのはいわゆるコンテンツしかないだろうという結論です。
まず第一次産業は社会に寄生しているだけで、もはや産業とは言えない存在です。物づくり、製造業も日本の時代は終わりつつある。今話題の「ものつくり大学」を見ればわかるように、物づくりの後継者を育てるための学校なのに産業界が金を出さないから、怪しげな人間が出てきて怪しげな金が動く、それで問題になっているわけです。つまり、第二次産業というのはもう自分で後継者を育成する義務も放棄したわけです。