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デジタル化していくにはものすごいお金がかかっていくわけですが、そのお金を賄おうという気持ちがテレビ局にはありません。広告収入では賄えない。ですから、少ない製作費でいいものをつくっていかなきゃならない。そういう状況に製作プロダクションが追い込まれているわけです。

続いて、ブロードバント。現時点では権利義務関係が確立されていません。問題は山積みの状況になっております。そこで放送した作品の諸権利は一体誰が守ってくれるのか、全く決まっていないのが現状です。

3つ目の著作権ですが、テレビは放送局重視、映画は製作者重視の法律環境のためか、日本では著作権について統一した見解が存在していないと私は思います。

ですから、一番顕著な例は、アメリカのテレビ局の株価は非常に安い。つまり、放送しているだけで何の権利も発生しないので、単なる放送媒体としか見られてないんですね。ですから、株の価格が非常に安い。

日本を見ますと、日本テレビなんか恐ろしい金額がついてますが、一番安いテレビ朝日でも30万円ぐらいの株価です。放送しているだけで著作権を主張できるからこうなるのです。それが許されている法環境にあるわけですね。これ延長して考えると、プロダクションにはお金が落ちない。作品をデジタル化したいのだけど、テレビ局ばかり儲けが大きくなって、プロダクションにはお金がおちてこないのです。

最も悪いことは、この3つを監督している官庁がばらばらなんです。役所を再編して少しはよくなるといいのですが、これまでは郵政省がテレビ局を監督していました。それから、通産省はインターネット等を監督。文化庁はアニメーションの中身について物を言っていました。この3つの官庁が好き勝手に意見を言ってきまして、お役所同士の争いになっていました。通産省に聞くと、テレビ局は将来のブロードバンド時代にはなくなってしうまうのだから気にしなくていい、というようなことまで言われる。逆に郵政省へ行くとテレビ局の利益を守ろうとして動くわけです。

私のお話は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

 

 

 

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