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1億人の方々が見るということは、いろいろな事件も起きる可能性があるということでして、ドイツでは子供の誘拐事件にポケモンが悪意的に使われたり、トルコでも子供がらみの事件でポケモンが題材にされたりもしております。ですから、世界中に広がると同時に、いろいろな事件も起きておりまして、それらに対するライセンサーとしての考え方が問われているという状況でもございます。

 

続いて、2番目のポケモンのデジタルアニメ映像ということですが、ポケモンの映像はどんどんデジタル化されてつくられてきております。間違いなくデジタル化の波がポケモンにも訪れておりますが、日本独特のアニメ制作環境が足かせになってなかなか進まない現状もございます。

それはまず、日本ではアメリカのメジャースタジオのようなシステムでアニメーションがつくられてないということです。

先ほど「トイストーリー2」の話をワインバーグ先生がおっしゃいましたが、あれはやはりピクサーというスタジオが自分たちですべての製作を行う。それに対してディズニーが大きな出資をしているということを背景にできている、と私は聞いております。ですから、チームの中ですべてが完結するわけです。

ところが日本は、メインの製作会社を数々の小さな製作会社が支えている形です。ですので、双方の人たちが同時に仕事を進めないと作品ができない環境になっています。ということは、デジタル環境1つ取っても、メインの製作会社が環境を整えても、実際に製作をしていただいている下請け会社の環境までが整わないとデジタル化できないんです。それが今大きな問題になっています。

図にしますとこうなっていまして、私が働いているのは小学館プロダクションという小学館のグループの会社ですが、ここが実際アニメーションの製作をOLMとOLMデジタルという会社に出しています。ここは純粋に映像だけをつくっている会社でして、音響関係は全く違う会社に発注をしています。彼らがまた小さなアニメーションスタジオにそれを発注しているものですから、デジタル化する際にはこの下請けの小さなスタジオが全部デジタル化しないといかんということです。ですから、歩みが非常に遅いという状況になります。

 

 

 

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