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そうだとすれば、なぜヨーロッパが、システムとしては音楽にせよ、絵画の印象派、19世紀以来の文学にせよ、世界をリードしてきたあらゆるシステムをもっているわけです。そういう文化があるヨーロッパにおいて、このマンガ・アニメというものがサクセスストーリーではないということであれば、どういうことなのかという点を、牧野先生でもいいし、香山さんでもいいですし、野崎さんでもいいですが、ちょっとお聞かせ願えればと思っています。

 

牧野 変則的ですけれども、先ほどの小野耕世さん。ヨーロッパには、例えば絵本などは非常に有名な絵本市が立って、ヨーロッパ一円、世界中からそういう作家だけではなくて業者さんたちも集まって、経済効果も非常に高いというそういう場が設けられているわけですが、いまのご質問についていかがでしょうか。

 

小野 野崎さんが言ったように、ヨーロッパはあまりないじゃないか。日本とアメリカだけだと。中国もないと、こういうお話でしたね。これは簡単には話せない。長くなってしまうのでやめますが、ヨーロッパはヨーロッパですばらしいマンガがたくさんありますね。だから、コンベンションがたくさんあって、例えば日本からも毎年2月ですか、日本側からもこれに毎年行くようになったアングレームの国際的なコミック大会がフランスで行われている。イタリーにもありますし、いろんな国にあります。

ヨーロッパの話をすると長くなるからやめますが、簡単に言えばヨーロッパにもすばらしいマンガもあるし、交流というのは、つまりアメリカとヨーロッパでの間ではしょっちゅうあります。日本にもヨーロッパのマンガも入っていて、カルト的な人気はあって、ある絵描きとかイラストレーターなどにはマニアがいます例えば2月にエンキビアルというユーゴスラビア出身でヨーロッパでもっとも人気があるコミック作家が、フランス大使館の文化部の招きで2月に来ますよ。例えば、そういう現象があるわけです。ただ、それはそういうのが見えている層の人には見えるけれども、一般の人には見えないということがあるんですね。

 

 

 

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