映画は、樫野孝人というのが僕の下でプロデューサーをやっていたんですが、いまは70人ぐらいの会社の社長にスカウトされていってしまいました。そういう優秀な人材も出てきているんです。
ゲームでいえば山本という女性ですが、メディアファクトリーでは女性のほうが優秀なんですけれども、実務も含めたプロデュースワークです。プロダクトをプロデュースしていく。予算を管理して、納期を管理して、品質を管理して、スタッフを管理する。管理といっても押さえつけるのではなくて生産性があがるモチベーションの高い仕組みを作り上げていくんです。メディアファクトリーがリクルート出版から変わってエンターテイメント系になったのはたった4、5年の歴史です。その期間で資本金3憶だった会社が400億近くまで大きくなってきているわけですから、プロデューサーの育成は可能だと思います。
ただ、それを体系的にやったのかといったら、成長したというよりも膨張したという感じなんです。英語でいえばグロースではなくて、エクスパンションだったんです。あまりにも成長の速度が早かったので、人が追いつかないまま破裂しかかってきているフィールドというのはあります。
ただ、結果的に人が育っている。僕は去年の12月ぐらいまでは有森裕子と同じようにエグゼグティブフェローという契約を残していたんですが、とてもセガの再建をやるのによそ見していられないので、12月末でセガにいったん専任するというふうなことを言ったんですが、放っておいてもちゃんと回っているようです。その意味ではプロデューサー集団にはなりつつあります。
次はその下が育つかどうかでしょうね。会社のカルチャーといいますか、会社の組織と仕組みのなかにその可能性がビルトインされたとは思いますが、育てられると思いますよ。育てられないと思ったら、これは一代芸になって非常に悲しい世界になりますね。ところてんのように自分がやらなくても成長していくというのを見ないと、あるいは、引退したあと自分がやっていた会社がなくなってしまったら、サラリーマンにとって俺の人生って何だろうってふうに感じますよね。