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今は、偽物ではなくて本物のロボットが迫ってくる。触って確かめる時代に入ってきたわけです。

アイボをつくった人や、ホンダの技術者さんなどの本音を聞くと「アトムのファンです」という。そうすると、ドラえもんは猫型ロボットですが、鉄人28号やガンダムも含めて、マンガの物語のなかでロボットと共生するシミュレーションをしている。マンガフェアのなかにロボットが出てきて当然であるし、技術集約度という点からいうと、ソフトとハードが調和し、質と密度の高い状態で完成されたものがロボットだと考えたときに、これこそが日本人の得意技ではないか。つまり、鍋文化ですね。

ついでに、梶原さんの弁護をしておきますと、吹きだまりに集まったいろんな文化を順化していくというのは、何か一つのものを選び出すという意味ではなくて、おそらく、同じような発想がきっとあるのではないか。つまり、吹きだまりに集まった材料のいいところだけとってそれを組み合わせていくという発想と受けとめた場合、―煮汁をとって特別な味を出すという意味では似ているところもあるのではないかと思います。ロボットを範疇に入れるということは、その辺を加味されているのでしょうか。

 

香山 結局、プログラムというある種の科学的といいますかサイエンス的な裏づけがあって、その表現の形態が目の前にあって動いたりするわけです。体を揺らさしたりとか、アトラクションなどでも映像とその揺れとによってある種のめまいを起したりです。いままで人形ごっこをしていた子供たちが、今はアニメをみて人形ごっこをしているわけです。この人形が本当に話しかけて動いたらという想像力、例えばそれがこれからはロボットにいくのかもしれない。その時に、必ずリアルなものに技術がどんどん吸い込まれていくようなことになるのは絶対間違いないと思いますね。そういう意味で、ロボットだけでなくて、そういったもの、おもちゃの発展形という捉え方もできる、もしくはペットの変形という言い方もできる。

 

 

 

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