私の個人的な意見を言うと、そういう方がいらっしゃったとき「いまここにこういう人がいるんだよ」と香山さんがおっしゃる。「あ、そういう人がいるんだ!!」と日本の社会一般がそういう人を顕彰するというか、拍手するような風土ができるといいですね。会社のなかでもそういう人がいると、ようするに忘年会の幹事さんみたいな扱い、評価しかしない。専門家なら、この道一筋というと、それが大したことがなくても何か光っているような評価をすることはありますが、その光っている個人個人をつなげて何かをやろうとするのは、日本の場合、「幹事さんの範囲」でしか評価しないところがあるのではないだろうか。
私は博報堂にもちょっといたり、新聞社に15年いたり、いまは大学というわずかな経験ではあり、ますが、取りまとめをする能力に関してはなかなか評価をしない風土・環境がネックになっていることを感じるのです。
どうでしょうか、次の質問をどうぞ。
内記 現代マンガ図書館の内記です。何度かのこの会に出させていただいていますが、きょうの香山さんのお話は、一番私には納得できるといいますか共鳴できる内容でしたので、嬉しく思っています。特にその鍋文化というか寄せ集めの部分で、だんだんいい味が、出汁が出るという部分です。
ただ、編集者が漫画家さんのネームとかストーリーに口出ししたというのは、初期の頃はないと思うんですよ。ずっとあとの週刊マンガ雑誌がメジャーになってからの現象ではないかという感じがします。それでも数十年はたっているだろうと思いますが、名物編集者とかマンガに登場してくるようなああいうマンガが出始めたころではないかと思います。そういう点で、まず、鍋文化といってもまだ歴史的には、全体のマンガ歴史からみたら浅いのでないかと思います。
それからもう一つ、足し上げていくのが得意だというか、足し上げている作品が多いという感覚でたぶんおっしゃったんだと思いますが、これも掲載する雑誌の宿命だと思います。