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それから、私は読売新聞に15年間在籍。その間、「読売国際マンガ大賞」を企画して立ち上げたのですが、最初に持ち出した際、マンガ作家にアンケートをとったら、誰もそんなものは要らないと言う。それでも強引に立ち上げると、先ほどおっしゃったように、企画者は“刺されて”しまうということもあるわけです。

いままではそれでよかったのですが、これからはこれだけの大きなビジネスチャンスができてくるとそんなことを言っていられません。いち早く韓国はもう大統領がそれをやれと言っている。

 

香山 だから、韓国にいってしまうかもしれませんよ。韓国は近いから、福岡でやるのとソウルでやるのと変わらないから、そっちでできるんだったら、みんな行ってしまうかもしれない。

 

牧野 もうすでに「シカフ」というような大きなビジネス・ショーが企画されて、学生たちとか漫画家のグループにも政府・企業の資金がおりるようなシステムを始動させたのです。

それから大学のマンガコースも、日本の4年制大学では京都精華大学にしかありません。短大にさえ、大垣と金城大学、二つあるだけです。韓国では40とか42というレベルでもうすでに大学のなかにコースができているわけです。それほどに意識が違うのです。

日本では「マンガ」は誰の援助も受けないで底辺から立ち上げてきた文化であるという意識が、作家のなかでも強いのです。だから政府の援助など要らないというスタイルですね。漫画家協会が社団法人化するときに文化庁の傘下に入るわけですが、それさえ拒絶しようとする人がたくさんいたというくらい。そういう日本的な風土のなかで、せっかく【具があるのにお鍋はできない】という状態に立ち至っています。何か解決策はありませんか?

 

香山 ビジネス的な部分だけ取り出したらいいと思うんですね。そうしたら、テレビで「どっちの料理ショー」とか「料理の鉄人」なんていうのは、フォーマット販売して1番組でいくらでやっていますが、あれは概念といいますかコンセプトだけを売っているんです。

 

 

 

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