ポケモンもそうですけれども、いまは「おじゃ魔女ドレミ」というのもアメリカでブレークしそうな話に聞いているし、「ガンダム」などは、かつてアメリカ人はあんなでかいものが空を飛べるわけがないと言っていたんです。アメリカはリアリティのないものを拒否するんです。でも、アシモが出たりアイボが出たりして現実味を帯びてくると「ガンダム」も受け入れられ始めました。ですから、確実に火がつくと思います。そうなっていくとまた道が開けますね。
このようにどんどんと作品を生み出していくためには、お鍋みたいにいい出汁をつくっていくという作業をクリエーターではなくて、もう少し社会インフラといいますか、社会基盤、産業として確立させないといけないと思います。これまでのようにたまたまが続いていくだけでいいとは思えない。この点ちょっと心配しています。
牧野 【鍋文化という新しい切り口】が出ました。百戦錬磨の香山さんの口から出ると説得力がありますね。―会場の皆さんこのあたりでどうでしょうか。私はこう考えているとか、ご質問でもいいんですが、もしもありましたら、お手を挙げください。
富沢 社会基盤研究所の富沢でございます。
私自身は、その「お鍋」そのもの、つまり社会インフラについて非常に関心があります。例えば、パリコレクションというのがありますね。本当にパリ生まれのフランス人のデザイナーが優れているかどうかはさておいて、パリコレという仕組みがあるので、世界中の我こそはと思うデザイナーがパリに集まる。パリにいい才能が集まるので世界中のバイヤーが買いにくる。その仕組みの中で評価されて、今年は三宅一生のものが一番買われたぞとかいうのが新聞に載ると、それが世界中にいって、三宅一生は世界中で売れていくという、そういう仕組みが大事なんだと思うんですよね。
ベンチャーという分野でも、日本の場合は発明をした人が全部立ち上げて、例えば中内さんが最後までダイエーを看取らなければいけないというようなのが日本の仕組みですが、アメリカなどの場合ですと、会社の生き死にがたくさんある。