それから、野崎さんは原作力が特に優れているのではないかなと、そういう印象をおもちであるし、逆に香山さんは、いや、継ぎ足してものをつくっていく能力に長けているけれども、グランドデザインの能力においては強くないのでは?ないかというお話なんですが、どうでしょうか。
香山 ちょっと補足していいですか。だから、チームをやればいいと思っているんです。原作は小説にいいものがたくさんあります。日本の小説は日本語なんで、海外の人には解りません。マンガとアニメはコンテになってハリウッドに流出しています。それを真似された映画がつくられているわけです。そういう意味では、小説のなかには、夢枕漠さんにしてもそうですが、朝日ソノラマなど含めていろんな形でいいものがあります。
日本のもう一つのよさというのは、先ほどお二方ともおっしゃってましたが、溶け込ましていきますよね。純化するのではなくて、溶け込ましていく、鍋にしてしまう能力だと思っています。いい出汁をつくるんですよ。ラーメンだってそうじゃないですか。豚骨だけでとればいいものを煮干しを入れたり何とかして、これが秘伝だとか言っていますよね。それにタレまで入れて。それが何か一つの味として出来あがってくる。実は溶け込ましていくという能力が強くて、それがうまく出来上がっていったときに、絶対負けないと思います。
鍋文化がエンターテイメントに入ったらいいなと思います。それを非常に高い能力の天才に期待しても無理があります。ゲームの世界の人も、マンガの世界の人も、多くの人は足しあげる能力しかありません。その場合、その場で足していって、「これおもろいやん」と言いながらやっていって、つながってみると蛇行しているんだけれども大きな一つの話になっている。「ドラゴンボール」などまさにそうだと思います。そこをうまくやっていけば世界的な大ヒットにもつながっていくのではないでしょうか。