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彼らには昔の名前で出ているという感じがないんですよ。深作さんなんかでも「殺す」と言っている限り大丈夫だし、僕は「ジュブナイル」という映画を今年やったときに、監督やった山崎というのが新人だったんですが、ルーカスの可能性があると思ってお金を出すことをして、テレビ局も組んで口説いたんです。こいつの才能に賭ける。ですから1作では絶対駄目だと、3作やれという話をしたんですが、そういうふうな可能性のある人たちが本当にいないんです。

韓国や香港には結構いるんですよ。香港などの映画の企画を聞いていると構成がしっかりしているんです。ただ、コンテをちゃんとつくらない人が多いので、そのとおりに映画ができるかどうかわからないので、お金入れられないという恐さがあるんですね。ウォン・カーワイなどまさにその典型です。

文化論的にいうと、先ほどのポケモンに似てしまいますが、日本は結構運がいいんじゃないでしょうか。マンガだけは編集者も含めた総合的な力の差というのがあるので、そう簡単によその国は追いつけない。ただしアニメはどうでしょう。もともと勝っているとはあまり思わないですけれどもね。

 

牧野 私も20代は、まさに即席ラーメン一つで、アニメーションだけやっていればいい―という生活をしてきた人なので、おっしゃったことがよくわかるんですね。

それから、次回お越しいただく松本零士さんの“サルマタケ・男おいどん”の世界。―この前はNHKで“インキン・タムシの話”を全国放送してしまい、アナウンサーが応対に困っていましたが、「ときわ荘物語」も含め、日本のマンガの原点は「貧乏」です。しかし、そのエネルギーがないと駄目なのかというのは、実は私の個人的疑問でもあります。そこからエネルギーが生まれることはわかるけれども、それが唯一のエネルギー源であると断定したくない。しかし、パネリストでにここにいらっしゃった大村さんが、「ソーホー」=小さな制作部屋からしかエネルギッシュなものは生まれないぞというお話をなさったんです。この辺をお聞きしたい。

 

 

 

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