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先ほどの話で言うと、マンガがそうだとしても、じゃあ日本の文学は純化したのか。日本の映画が純化したとしたら、なぜあの低レベルのエンターテイメント性のない映画しかつくれないのかという疑問が湧くのが自然です。

そうすると、なぜその違いが、いまの梶原さんの話だと語れないじゃないですか。そこに無理を感じるんです。そうしたら、マンガが特殊なのかという議論にいってしまう。

 

牧野 連続してお話を伺っている方々のご意見も、「特殊ではない」という意見と「特殊だ」とおっしゃる方と二つに分かれました。何か日本人だけ特化したような考え方をすること自体が間違いですよ、とおっしゃる方もいらっしゃる。一方で、日本だからこういう形になったんだという展開をなさる方もいらっしゃるわけですが。特に、野崎さんは、「日本人だから」のほうでしょうね。

 

野崎 日本人だからというよりも、そもそも日本人は絵でものを訴えるとか、先ほどの繰り返しになりますが、目でものを訴えるとか、スピリッツが非常に特異みたいなんですよ、歴史的にみて。人を言い負かして、裁判の最終弁論で言い負かしすというのはあまり得意ではなくて、しこし絵で描いて見せたりするのが得意な民族、奇麗に言うと奥ゆかしさがある。

なぜこんなにゲームなりマンガがビッグビジネスになったかということを敢えて言うと、一つは、もともと国内用につくったもの、海外を意識せずにつくったものが海外でも売れてしまったということがあると思います。

もう一つは、アニメでもマンガでも、開発費を非常に安くつくる手法といいますかノウハウが日本にあります。海外からの収入がなくても、それほど大儲けしなくてもやっていけるようになっていて、したがって海外は付録みたいなものだから安く売ってあげられるということも幸いしたんだと思います。

 

 

 

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