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それを組み合わせてシステム化して掘り出していくことによって事業ができるんだけれども、生み出す側は、たぶん、ここに来ておられる方、誰も生み出せないんです。それはウォルト・ディズニーだったり、ある意味で偏執的な人間にしかできない作業なんですよ。

その人たちにはやらせておくしかないんです。イチローだって10回に3回しか打てないわけじゃないですか。その意味では日本のなかで生み出されているマンガとアニメーションとゲーム、ほとんどがハズレです。これから更に当たらないものが増えます。当たらないものが増えるんだけれども、その時受け皿としてジェネレートするシステムをグローバルな形でもっていれば、アメリカのベンチャーと同じようにお金を投じ続けられるわけです。そうなりさえすれば、日本のキャラクタービジネスはたぶん世界に対して優位にたつでしょう。ジェームス・キャメロンはあと1作か2作フォックスとの契約が終ったら、CGの開発拠点も含めて全部日本でやろうとしていますからね。

 

牧野 この前、岐阜県の梶原知事がマンガを使ってさまざまな事業を興そうという視点でこのフォーラムでもお話くださったんですが、そのなかで、日本でキャラクターとかマンガ・アニメーションが特に世界のなかで目立つような状況になった理由を述べられました。

彼は、「日本列島に世界中からさまざまなものが流れ込んでくる。(梶原さんはこれを「吹き溜まり」と表現していました。)いろいろな文化が吹き溜まりのように入ってきたものを、拒絶しないでみんな受け入れている。日本という国は流入した文化を純化する能力をもっているのではないか。茶道でも華道でも何でも「道」にしてしまって順化していく能力がある―というふうに私は考えます」と、梶原さんはこのように見解を披瀝されました。マンガがこのように特異な発展をしていくのは、(絵物語は何も日本だけのものではないんだけれども―)多様化したり研ぎ澄まされていく素地が日本にはある。こういう見方に対して、香山さんのお考えは?

 

 

 

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